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スギの雄花に着目した遺伝子の塩基配列データベースを構築

2021年7月5日掲載

論文名

Construction of a reference transcriptome for the analysis of male sterility in sugi (Cryptomeria japonica D. Don) focusing on MALE STERILITY 1 (MS1)(スギの雄性不稔遺伝子(MS1)に着目したトランスクリプトーム参照配列構築)

著者(所属)

魏 甫錦(森林総研PD)、上野 真義・伊原 徳子(樹木分子遺伝研究領域)、斎藤 真己(富山県)、津村 義彦(筑波大学)、樋口 有未・平山 聡子・岩井 淳治(新潟県)、袴田 哲司(静岡県)、森口 善成(新潟大学)

掲載誌

PlosOne 16 2021年2月 DOI:10.1371/journal.pone.0247180(外部サイトへリンク)

内容紹介

DNA(デオキシリボ核酸)上に存在する遺伝子は、必要に応じて部分的にmRNA(伝令リボ核酸)に写し取られ、さまざまな機能のタンパク質が作られます。根・茎・葉といった器官ではたらいているタンパク質は異なるため、mRNAの違いをみれば作られているタンパク質の違いがわかり、器官で特徴的にDNAから写し取られている遺伝子を見つけ出せます。

本研究では、スギの雄花・針葉・内樹皮に存在するmRNAの塩基配列を網羅的に解読して遺伝子の塩基配列データベースを構築しました。そして約5万種類のmRNAから作られるタンパク質の機能を推定し、これを基に雄花に特徴的な遺伝子を抽出しました。その中から花粉壁の形成に関与する遺伝子の一つに着目し注1)、雄花の発達にともなうmRNA量注2)の変化を雄性不稔(無花粉)スギと正常なスギで比べました。その結果、その遺伝子のmRNA量は、無花粉スギの方が少ないことがわかりました。また、その他にも花粉形成に関係する遺伝子が少なくとも74個見つかり、対象とした系統ではそれらは正常に機能していると考えられました。

さまざまな機能を持つ遺伝子を見出すには、mRNAの配列を網羅的に解読し、遺伝子のカタログ(データベース)を整備することが必要です。本研究で収集された遺伝情報も国際塩基配列データベースに登録するとともに、当所で運営中のForestGENデータベースにも収録して公開しました。

注1) 無花粉スギの原因遺伝子の一つは花粉壁の形成に関与していると考えられています。

注2) mRNAの量は遺伝子の働きの強弱の指標として使われます。

(本研究は、2021年2月にPlosOneでオンライン公表されました。)

 

図:本研究で構築したデータベース

図:本研究で構築したデータベース(ForestGENから公開)
(A) ForestGENのポータルサイト(https://forestgen.ffpri.go.jp/)における本研究の該当部分。
(B) 遺伝子検索フォームの例。
(C) 無花粉スギに特徴的な遺伝子の例。ここでは、(1)タンパク質として機能すると予測される領域(既知のタンパク質配列との類似性の高い部分)、(2)正常なスギのmRNAの量、(3)無花粉スギのmRNAの量、(4)遺伝的変異の有無が表示されています。(2)と(3)では軸の数値が異なることに注意してください。この図から、この無花粉スギの遺伝子の働きの強さ(発現量)は正常なスギの半分以下であること、CATCAAの塩基配列からATCAの4塩基が欠失する遺伝的変異が生じておりタンパク質としては全く機能しないこと、などが読み取れます。

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【研究担当者】
森林総合研究所 樹木分子遺伝研究領域 上野 真義
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