研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2021年紹介分 > 夏植栽のカラマツコンテナ苗で干害を防ぐ育苗方法を開発した
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2021年9月16日掲載
論文名 |
Enhanced summer planting survival of Japanese larch container-grown seedlings(カラマツコンテナ苗における夏植栽後の生存率を向上させる方法) |
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著者(所属) |
原山 尚徳・飛田 博順(植物生態研究領域)、北尾 光俊(北海道支所)、今 博計・石塚 航・黒丸 亮・来田 和人(北海道立総合研究機構 林業試験場) |
掲載誌 |
Forests、12(8)、1115、2021年8月 DOI:10.3390/f12081115(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
根鉢を持つコンテナ苗(写真1)は従来の裸苗に比べて植栽時期を選ばないとされています。しかし、夏が少雨の傾向にある北海道では、この時期に植えたカラマツのコンテナ苗が干害で枯れる事例が発生しています。また、気候変動による気温の上昇や無降水日の増加などにより、植栽直後の干害発生リスクが増加することも懸念されます。そこで本研究では、コンテナ容器の容量と育苗密度、潅水方法と蒸散抑制剤に着目して、夏植栽のカラマツコンテナ苗で干害を防ぐ育苗方法について検討しました。 その結果、容量が小さく育苗密度が高いコンテナ容器で育てた苗木は、育苗時に根の成長が抑制され、最も干害が生じやすいことがわかりました(図1)。一方、植栽前2ヶ月間、潅水頻度を週2回に減らした苗木では、着葉量が減ることで根量と葉量のバランスが整えられ、干害発生率が大幅に低下することがわかりました。また、植栽前の苗木に蒸散抑制剤を散布することも、干害の抑制に効果がありました。 今回の成果は、干害に強いカラマツコンテナ苗の育苗技術の確立に向けた有用な知見となります。
(本研究は、2021年8月にForestsにおいて公表されました。)
写真1 カラマツコンテナ苗(左:全体、右:根)
図1 カラマツコンテナ苗の夏植栽後の干害発生率と育苗方法 |
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