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先駆樹種であるシラカンバの成長は二酸化炭素で促進されるが、オゾンによって抑制される

2021年11月16日掲載

論文名

Growth and photosynthetic responses of seedlings of Japanese white birch, a fast-growing pioneer species, to free-air elevated O3 and CO2. (開放型オゾン、二酸化炭素暴露に対する先駆樹種シラカンバの成長と光合成反応)

著者(所属)

北尾 光俊(北海道支所)、AGATHOKLEOUS Evgenios(南京信息工程大学)、矢崎 健一(北海道支所)、小松 雅史(きのこ・森林微生物研究領域)、北岡 哲(北海道大学)、飛田 博順(植物生態研究領域)

掲載誌

Forests、12(6)、675、2021年5月 DOI:10.3390/f12060675(外部サイトへリンク)

内容紹介

化石燃料消費の増加により、二酸化炭素(CO2)濃度とともに大気汚染物質であるオゾン濃度も上昇する傾向にあります。一般に、高CO2濃度は光合成を促進し植物の成長を増加させます。一方のオゾンは光合成を阻害しますが、遷移中期~後期種のナラ類やブナでは、オゾンによって地下部(根)に対する地上部(葉や茎)の重量比が増加し、光合成器官の量が増え、オゾンの影響が緩和されることが知られています。

それでは、明るい環境を好む遷移初期種ではどうでしょうか?遷移初期に現れる先駆樹種シラカンバを、さまざまなCO2やオゾンの濃度で育てて調べてみました(写真)。実験の結果、シラカンバの成長は高CO2濃度で促進され、高オゾン濃度で抑制されることがわかりました(図A)。光合成速度は高CO2濃度で増加する傾向が見られましたが、高オゾン濃度では葉の老化が促進されることで低下しました。一方で、CO2やオゾンの濃度にかかわらず、地下部に対する地上部の重量比は通常大気下と違いがありませんでした(図B)。

以上のことから、シラカンバの成長は主として光合成の反応を反映していると考えられました。シラカンバは遷移初期種の特徴として、もともと地上部への重量分配が大きく、そのために光合成器官増加の余地が小さく、オゾンの影響を緩和できなかったようです。温暖化対策というと二酸化炭素ばかりが話題になりますが、オゾンのことも忘れてはいけません。

(本研究は、2021年5月にForestsにおいてオンライン公開されました。)

 

写真:開放型二酸化炭素・オゾン暴露施設

写真:開放型二酸化炭素・オゾン暴露施設(森林総合研究所、つくば)
風よけの透明スクリーンを施したフレームに4面のチューブから二酸化炭素やオゾンを流しこみ、その中でシラカンバの苗を春から秋までの約半年育てました。通常大気の日中のCO2濃度約380ppm、オゾン濃度約30ppbに対して、高CO2処理区は約550ppm、高オゾン処理区は約52ppbに設定しました。(ppmは100万分の1、ppbは10億分の1に相当します)

 

図:シラカンバの成長量と重量の地上部/地下部比

 

図:高CO2濃度(+CO2)および高オゾン濃度(+O3)条件で生育したシラカンバの成長量(A)と重量の地上部/地下部比(B)
成長量は高CO2濃度条件で増加しましたが、高オゾン濃度条件では減少しました。地上部/地下部比への高CO2濃度と高オゾン濃度の影響は統計的には認められませんでした。

 

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【研究担当者】
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