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歩留まりが高く、強度性能も高いフィンガージョイントを開発

2022年4月8日掲載

論文名

長さの異なるフィンガージョイントでたて継ぎしたスギ、ヒノキ、エゾマツ材の曲げ強度特性

著者(所属)

平松 靖(複合材料研究領域)、土屋 敦(兼房株式会社)、藤本 清彦(木材加工・特性研究領域)、宇京 斉一郎(構造利用研究領域)、宮武 敦・新藤 健太(複合材料研究領域)、林 知行(京都大学生存圏研究所)

掲載誌

森林総合研究所研究報告、Vol.21-No.1(461)、1-25、2022年3月、森林総合研究所

内容紹介

木材の端部を櫛状に加工して、たて継ぎ(木材を長さ方向に接着接合)する技術をフィンガージョイントといいます。短い木材を長くしたり、木材に含まれる大きな節などの欠点を除去して強度のばらつきを小さくしたりするために使用します。(写真)このフィンガージョイントは、ラミナ(板状の木材)を厚さ方向に積層接着(各層のラミナを積み重ねて接着すること)した木質材料である集成材の製造に欠かせない技術です。現在、建築構造材料として使用される構造用集成材に用いられるラミナの製造には、フィンガー長さ(櫛状の部分の長さ)12~25mmのフィンガージョイントが使用されています。

本研究ではラミナのたて継ぎにおける歩留まり向上、省エネルギー加工を目的として、より長さの短いフィンガージョイントを開発し、たて継ぎしたラミナの曲げ強度性能を調べました。その結果、長さ6.3mmのフィンガージョイントでたて継ぎしたスギ、ヒノキ、エゾマツラミナの曲げ強度性能は、(1)長さ17.0mmのフィンガージョイントでたて継ぎしたラミナと同等であること、(2)集成材の日本農林規格(JAS)における構造用集成材の規格に定められたラミナの曲げ強度性能の基準値を満たすこと、を明らかにしました。(図)。

より短いフィンガージョイントを活用することで、たて継ぎラミナ製造時の歩留まり向上や消費エネルギーの低減を図ることができ、構造用集成材の製造コストの削減につながることが期待できます。

本研究は、兼房株式会社と森林総合研究所との共同研究「マイクロフィンガージョイントによる構造用たて継ぎ材の開発と評価に関する研究」、森林総合研究所交付金プロジェクト「マイクロフィンガージョイントによる高効率型木材接着接合技術の開発(課題番号201114)」により実施しました。

(本研究は、2022年3月に森林総合研究所研究報告において公表されました。)

 

写真:フィンガージョイント
写真:フィンガージョイント
上:フィンガー長さ6.3mmのフィンガージョイント
下:フィンガー長さ17.0mmのフィンガージョイント
説明
端部を櫛状に加工した木材に接着剤を塗布し、櫛状になった部分を嵌合させて木材をつなぎ合わせます。

 

図 フィンガージョイントによるたて継ぎラミナの曲げ強さ(スギ) 図 フィンガージョイントによるたて継ぎラミナの曲げ強さ(ヒノキ) 図 フィンガージョイントによるたて継ぎラミナの曲げ強さ(エゾマツ)
図 フィンガージョイントによるたて継ぎラミナの曲げ強さ(平均値)
※エラーバーは標準偏差を示す。
※図中の破線と数値はそれぞれの曲げヤング係数の区分に対応したラミナの曲げ強さのJAS基準値(平均値)を示す。

説明
曲げヤング係数の区分が異なるスギラミナ、ヒノキラミナ、曲げヤング係数の区分をしていないエゾマツラミナそれぞれについて、フィンガー長さが6.3mmと17.0mmのフィンガージョイントを用いてたて継ぎしたラミナの曲げ強さを比較したところ、同等の曲げ強さを有することがわかりました。

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 渋沢 龍也
【研究担当者】
森林総合研究所 複合材料研究領域 平松 靖

お問い合わせ

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