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掲載日:2023年4月18日
大雪により大量着雪したスギは、風から受ける力(風荷重)が増え、倒木の危険が一層高まることが風洞実験で分かりました。着雪・強風による倒木被害の発生予測や、雪に強い森林づくりに向けた管理手法の開発に役立つ成果です。
防災科学技術研究所にある大型低温実験室内に設置した風洞装置を使って、人工的に着雪されたスギの枝葉への風荷重について着雪量や風速を変えながら測定し、風荷重への着雪の影響を明らかにする実験を行いました(写真)。
大量の着雪(単位樹冠投影面積あたり約21キロ)で覆われたスギの枝葉に風速15メートル/秒の風を当てたところ、着雪がないときに比べて1.5倍の荷重がかかっていました(図)。これは大量の着雪により、枝葉が風でなびきにくくなることや、風を受ける面積が増すことで、樹木に作用する風荷重が増すためです。一方、比較的少量の着雪で覆われた場合には、逆に風を受け流しやすくなって風荷重が減るという現象もみられました。今後、着雪と風荷重の関係についてさらに研究を進め、倒木の発生予測などに活かしていきます。
(本研究は、2023年3月に日本雪氷学会誌「雪氷」に掲載されました。)
写真:風洞装置で人工的に着雪させたスギの枝葉の様子
図:物体が風から受ける力に関する係数(*抗力係数)と風速との関係。
左図)着雪がない場合
右図)着雪が多い場合(単位樹冠投影面積あたり約21キロ)
図中の点は5回の実験の平均値、エラーバーは標準偏差を示す。
※ 図は、論文中の図を基に作成しました。
*抗力係数:風速が同じである場合でも、物体が風を受ける面積や風でのなびきやすさに応じて、物体にかかる風荷重は変化します。抗力係数は、風荷重に対する物体の持つ特徴を合わす数値です。抗力係数が大きいほど、同じ風速でも大きな風荷重がかかっていることを示します。
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