研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 傾斜緩く道に近い林地で皆伐が増加、局地的な資源量不足に注意
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掲載日:2024年2月29日
戦後の拡大造林期に植栽されたスギ人工林が成熟し生産量を増やす中、傾斜が緩く道から近い林地に皆伐が集中していることが九州7県の民有林を対象とした研究で分かりました。収益の見込める林地に偏った皆伐は将来的に局地的な資源量不足を招く恐れがあり、今回の発見は木材供給の持続性評価につながる成果です。
研究グループは、林業収益を大きく左右する傾斜と道からの距離を基に人工林をカテゴリ分けし、2000~2018年の衛星画像や各種空間情報、木材生産量統計を使って皆伐地の特徴を分析しました。
その結果、7県共通の傾向として、生産量が多い年ほど、傾斜が緩く道から近い場所で皆伐面積が増加していました。また、九州で最も生産量の多い宮崎県はこの傾向が顕著で、2018年には、傾斜10度以上20度未満の皆伐面積比率が40度以上50度未満の4倍程度ありました(図)。
(本研究は、日本森林学会誌において2023年7月に公表されました。)
図:宮崎県における傾斜区分別に示した2000~2018年の年間皆伐面積比率。
カテゴリごとの皆伐面積比率と各年木材生産量間での線形回帰の結果も併せて示す(帯は95%信頼区間)。
緩傾斜地では、木材生産量が多い年ほど皆伐面積比率が高い。一方で、急傾斜地では木材生産量の多寡と皆伐面積比率に関係性が見られない。
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