研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 「日本一のシラカンバ美林」の更新維持、小規模伐採では難しく
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掲載日:2024年4月16日
「日本一のシラカンバ美林」とも称される岩手県久慈市・平庭高原のシラカンバ*1) 林の高齢化対策として、小規模な伐採面積では更新維持に十分な稚樹が育たないことが分かりました。この成果は久慈市が令和5年度にとりまとめて策定される「平庭高原白樺林再生に向けた技術指針」に反映されます。
同高原は岩手県立自然公園に指定されている観光名所で、約370haの範囲にシラカンバが約31万本自生しています(久慈市公式サイト)(写真1)。寿命80~100年と短いシラカンバの林は近年、推定樹齢50~80年を迎えて枯死や倒木が増え、更新がなければ貴重な景観が失われるおそれがあります。
研究チームは2016年、同高原に30m四方の試験区域を設定し、シラカンバ等約50本を皆伐した後、区域の半分で地表土壌の「かき起こし*2) 」を、残り半分で下草の刈り払いを行いました。その5年後、天然更新で生育したシラカンバの稚樹を調べると、かき起こし区(写真2)でヘクタールあたり3300本、刈り払い区で同900本が確認されましたが、いずれもシラカンバ林の天然更新に必要とされる本数(3~5万本/ha)には達していませんでした。
シラカンバ林の更新維持には高齢木の伐採が必要ですが、平庭高原は保安林*3) 指定により伐採面積が制限されていることに加えて、景観の変化を最小限に抑えることも求められるため、今後も最適な更新方法を探っていく必要があります。
*1) シラカンバ:本州から北海道の冷温帯に分布するカバノキ科の落葉高木で、伐採などで明るくなると一斉に更新する性質があるパイオニア樹種
*2) かき起こし:重機等で林地の地表をひっかいて土壌を露出させ稚樹の発生を促す作業
*3) 保安林:水源のかん養や土砂流出防止などの公益的な目的を達成するため指定される森林。立木の伐採や土地の形質変更等が制限される
(本研究は、東北森林科学会誌において2024年2月に公開されました。)
写真1:平庭高原のシラカンバ林
写真2:小面積伐採とかき起こしによって生えた5年生のシラカンバ稚樹
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