研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 十和田・八甲田の戦前植生図をデジタル化し80年の変化を推定
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掲載日:2024年5月30日
昭和初期(1930年)に作成された十和田・八甲田地域の植生図(以下「旧図」)をデジタル化し、最新の植生図(以下「新図」)と比較したところ、約80年の間に八甲田山系ではオオシラビソ林が減り、十和田湖周辺ではブナ林が拡大するなど変貌していることが分かりました。デジタル技術の活用により、時代を隔てた植生図の比較分析が容易になり、長期的な植生変化が推定できました。
森林総合研究所・横浜国立大学の研究チームは、同研究所内で見つかった旧図をデジタルスキャンし、環境省生物多様性センターが2010年に作成した新図と重ね合わせて変化を調べました。その結果「ほぼ手つかずの自然状態が維持されてきた」と旧図内で記録されていた八甲田山系のオオシラビソ林は面積が約半分に減少していました。近年の温暖化が関係していると考えられます。
十和田湖周辺では旧図には薪炭林利用や林内放牧によりミズナラ林などの二次林が広がっていましたが、新図ではミズナラ林が縮小しブナ林が1.48倍に拡大していました。また、新図に記載されていたスギ植林地や牧草地は旧図に記録されておらず、1930年より後に植林・造成されたことが分かりました。
(本研究は、Frontiers in Enviromental Science 12において2024年3月に公開されました。)
写真1:昭和初期の十和田・八甲田山地域における植生図のスキャン画像
図1:1930年(左)と2010年(右)の植生図の比較。
図の上部が八甲田山系、下部が十和田湖(濃青色)とその周辺。本文で述べた主な植生として、オオシラビソ林は濃緑色、ミズナラ林は水色、ブナ林は灰色で表示している。
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