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掲載日:2024年7月22日
スギコンテナ苗1) を育苗期間中に約1ヶ月間樹冠を撫(な)で続けると、その年の伸長成長量が小さくなることがわかりました。コンテナ苗の樹高を出荷規格内に長く留めることができ、大きくなりすぎて出荷できない「残苗」を減らす上で役立つ成果です。
コンテナ苗は十分な肥料と潅(かん)水の下、高密度で育苗されるために徒長しやすく、残苗の発生と植栽後の低い伸長成長量が課題となっていました。そこで研究グループは育苗中のスギコンテナ苗に、6月から週2~3日の頻度で約1ヶ月間樹冠をホウキで撫でたり2) 、またコンテナごと揺らしたりする刺激を与え、苗の伸長成長量への影響を調査しました。また、育苗中のこれらの処理が、植栽後の伸長成長量に与える影響も調査しました。
その結果、何も処理しなかった苗と比べて、毎回樹冠を10往復撫でた苗では伸長成長量が抑えられ(図)、1成長期後の樹高は15%低くなりました(写真)。一方、揺らして育てた苗では、1成長期後の伸長成長量への影響は見られませんでした。また、育苗中の撫でる処理は、植栽後の伸長成長量に影響を与えないことも確認できました。
1) コンテナ苗:たくさんのポットが連結されたコンテナと呼ばれる育成容器で育てられた苗。コンテナから抜き取り、根鉢付きの状態で出荷されます。近年の山行苗の主流になりつつあります。
2) ホウキで撫でる処理は苗の徒長を防ぐために野菜や花卉類の育苗中に古くから実施されている方法です。スギの場合、苗の主軸が折損するリスクを高めることがあり、処理の頻度や強度、実施期間の長さには注意が必要です。詳しくは当該論文をご覧ください。
(本研究は、森林応用研究において2024年2月に公開されました。)
図:育苗中の各処理区のスギコンテナ苗の伸長成長量
網掛け部分は処理期間を示す。見やすくするため、各処理区のデータは無処理の区とx軸方向へ凡例順に3日ずつずらして表示している。
論文データを元に作成した。
写真:1成長期後(11月)の苗の様子。
樹冠を10往復撫でる処理によって、伸長成長量が15%低下した。
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