研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > タコ足状の支柱根を持つヤエヤマヒルギは風や波への抵抗力が高い
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掲載日:2024年8月5日
マングローブの木々のうち、ヤエヤマヒルギはタコ足状の根(支柱根)を発達させ、幹を支えているため、波や風に対する抵抗力が高く、根ごとひっくり返って倒れる「根返り」をしにくいことが沖縄県西表島やベトナムのマングローブ林での調査で分かりました。気候変動による海面上昇や大型台風による災害リスクが高まる中、沿岸部での防災・減災対策を講ずる上で、植栽すべき樹種の選択や植栽樹種の配置方法等の指針作りに貢献する成果です。
研究グループでは、西表島およびベトナムで、波や風で引き起こされる「根返り」に対するマングローブの抵抗力を調べるため、マングローブ数種を対象にして引き倒し試験を行いました。引き倒し試験とは調査対象の樹木の幹に取り付けたロープをハンドウィンチで牽引して樹木を引き倒すものです。その樹木が根ごとひっくり返った、もしくは幹を支えている根が損傷した(折れた、もしくはちぎれた)際の牽引力を測定し、それを樹木の「根返り」に対する抵抗力とします。
試験の実施によって、支柱根をタコ足上に伸ばすヤエヤマヒルギは、地下の堆積物中に根を伸ばすハマザクロ属よりも抵抗力が高く、波や風に対して「根返り」をしにくいことがわかりました。また、既往研究と今回の試験結果を比べると、ヤエヤマヒルギの抵抗力は、海岸林のクロマツや広葉樹と同等か、それらを上回るものでした。
(本研究は、森林立地において2024年6月に公開されました。)
写真:西表島のヤエヤマヒルギ
写真:ベトナムにおけるハマザクロ属マングローブの引き倒し試験のようす
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