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更新日:2010年6月1日

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自然探訪2005年4月 サクラ類てんぐ巣病

サクラ類てんぐ巣病(病原 Taphrina wiesneri (Rathay) Mix)

毎年サクラの花の季節になると、枝が異常に分枝し鳥の巣状になる病気が目に付きます。森林総合研究所の付近では、観音台にある農業研究団地の桜並木にいくらか発生しています。病枝にはほとんど花をつけず、ソメイヨシノなどでは、開花の時期に病枝上に小型化した葉が開き、早期に落葉します。また病枝は数年で枯死し、放置すると樹全体の衰退をひき起こすやっかいな病気です。4~5月頃、病葉の裏面に白い粉を吹いたように層状に病原菌の胞子の入れ物(子のう)が形成されます。子のうの中で胞子が酵母状に出芽して数を増やし、やがて子のうが破れると胞子が飛散し、新たな感染源となります。この病気の防除には、病枝を付け根から切り取る方法が有効です。サクラは切り口から腐れ易いのでチオファネートメチル塗布剤を塗り、保護することも重要です。本病菌は植物ホルモンであるオーキシン(インドール酢酸)を合成して、それがてんぐ巣病枝の形態形成に関係すると考えられています。

サクラ類てんぐ巣病

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