今月の自然探訪 > 自然探訪2006年 掲載一覧 > 自然探訪2006年11月 イワヒバリ
更新日:2010年6月1日
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春夏は様々な鳥のさえずりが聞かれる筑波山の山頂も、秋冬は静かなことが多い。その秋冬の間に限って見ることのできる鳥がこのイワヒバリである。神社の石段や岩の上などの目立つ場所にいることが多く、あまり人を恐れないため観察も容易だが、ご覧のように大きさや色合いはスズメとさして違わないため、さほど一般の人の興味を引く存在ではないかもしれない。だが実はこの鳥は、高山のハイマツ帯とその上部の岩石地帯でのみ繁殖するという変わり者で、夏にその姿を眼にするためには、標高2,000m以上の森林限界まで登らなくてはならない。高い山のない茨城県では繁殖しないが、筑波山にはごく少数の個体が越冬のために飛来し、その姿はバードウォッチャーにとっては貴重な冬の風物詩となっている。冬の間、観光客の足下をうろついていたこの鳥も、春には何処かの高みに戻っていったはずである。
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