今月の自然探訪 > 自然探訪2008年 掲載一覧 > 自然探訪2008年3月 越冬中のオオスズメバチ、ヨツボシオオアリ
更新日:2010年6月1日
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オオスズメバチVespa mandarinia japonica Radoszkowskiはハチ目スズメバチ科に属する昆虫である。日本最大のスズメバチで、女王は体長40mm以上あり、写真のハチも42mmある。また、頭が大きく、いかにも顎の力が強そうである。そして、体が大きいため、餌としては、他のスズメバチ類が相手に出来ないような、頑丈な体をしたコガネムシ類、カミキリムシ類や、その他カマキリ類、造網性の大形クモ類である。さらに集団でキイロスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチや小型のクロスズメバチ、ミツバチなどの巣を襲って、殺した直後の成虫(戦死した自分の仲間の成虫も)と蛹、幼虫を餌とする、昆虫界の殺戮者である。巣は土中に多いが、大きな木の空洞や土壁内にも作る。攻撃性は上記のように強く、大顎を噛み合わせ、威嚇行動は激しく、刺された時の毒性は著しく強い。女王の越冬場所は写真で分かるように、樹洞や土中である。2008年1月30日、茨城県つくば市で撮影した。
写真 : 越冬中のオオスズメバチ
ヨツボシオオアリCamponotus quadrinotatus Forelはハチ目アリ科ヤマアリ亜科のオオアリ属の種である。体長5~6mmで、やや艶のある黒色で腹部第1,2節にそれぞれ1対、4つの丸い黄色紋を持っている。和名は4つの星のあるオオアリから名付けられたものか、種名のquadrinotatusをそのまま訳したものか、どちらにしても分かりやすい。樹上営巣性で木の割れ目や樹皮下に巣を作り、北海道、本州、四国、九州;朝鮮半島、中国に分布している。写真のヨツボシオオアリは働きアリで子供を守っている。アカマツ樹皮を剥がしたときに近くにいたニセマツノシラホシゾウムシShirahoshizo rufescens (Roelofs) (コウチュウ目ゾウムシ科)の幼虫がアリの側までころがってきた。それで働きアリの1匹がゾウムシの幼虫に食いついたが、これは食べるためでなく、子供を守るための行動である。撮影は前種同様、2008年1月30日、茨城県つくば市で行った。
写真 : ヨツボシオオアリ
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