今月の自然探訪 > 自然探訪2010年 掲載一覧 > 自然探訪2010年3月 ササラダニの仲間
更新日:2010年6月1日
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ササラダニと聞いても、なんのことかわからない方が多いと思います。これは、大きさが1ミリに満たない小さなダニの仲間です。ダニといっても、人間に食いついたり、アレルギーを起こすようなことはありませんのでご安心を。森の土の中で、おとなしく落ち葉や菌類などを食べている、愛らしい?生き物たちです。
ササラダニは普通の森では数十から100種類くらい住んでおり、片足の下に1000匹くらいいるところもあります。森の土だけでなく、木の上、コケの中、水の中までいます。ササラダニという名前は、このダニが持っている特殊な毛が、お鍋などを洗うササラ(竹を細かく割いたもの)に似ているからです。昆虫ではないので、羽根はなく、目もありません。足は8本ですが、体が頑丈な皮膚で覆われているため、ダニというより、カブトムシに似ています。
土の中には、アリやムカデなどの敵が多いため、身を守るために、厚い皮膚を持っているのです。さらに、襲われたときには、アルマジロのように、体を丸めたり、翼上の突起で体を覆って、身を守るものが沢山います。腹側に大きな生殖門と肛門があります。ササラダニは、自分の体の四分の一か時には、半分ほどの大きな卵を産むものがいます。その場合、卵を産むのが大変なので、大きな扉状の生殖門を持っており、これを観音開きにして産むのです。また、落ち葉などをペンチのような丈夫な歯でかみ砕いて食べるのですが、栄養価が低いのでたくさん食べます。だから、肛門も大きくて、卵と同じくらいの大きさの糞を沢山します。それは、落ち葉を細かくして分解を促進し、土をふかふかにする働きもあるのです。
ササラダニは種類によって、様々な環境を好むため、環境指標生物としても注目されています。いわば、森の診断役というわけです。
これから、森を歩くときに、その足の下に、愛らしいダニたちがうごめいていることを思い出してくださいね。
走査電顕映像:ニセイレコダニの腹面。真ん中の扉が卵を産むところ、
右の扉が糞をするところです
ヒメヘソイレコダニ:黒く見えるのが、糞の固まり、薄い楕円が卵である。頭の部分が動くようになっており、刺激を受けると足を引っ込めて頭をふたのように閉じ、ラグビーボールのようになって身を守ります
走査電顕映像:フリソデダニモドキの背面:両側に翼状の突起を持っており、
刺激を受けると突起を内側にたたんで足や腹の部分を守ります
スギの落ち葉の中に潜み、落ち葉の中身を食べて糞にしているヨロイイレコダニ
チビゲフリソデダニ:顕微鏡写真を元に描いた、コンピューターグラフィック
網目状の毛で身を守る、マイコダニ
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