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更新日:2020年2月3日

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自然探訪2020年2月 ホシガラスの食事

ホシガラスの食事

山に登ったとき見る鳥の中で、最初に名前を覚えることのできる種類のひとつがホシガラス(写真1)でしょう。生息している地域や個体数が比較的多いため見る機会に恵まれやすく、ハトほどの大きさがあり、しかも、人目につくところをよく飛ぶからです。和名の由来となっている体の模様もわかりやすく、印象的です。その分布は広く、アジア東部からシベリアやヨーロッパ北部に及びます。日本では各地の高山や亜高山に生息します。

名前のとおり、カラス科の鳥ですが、平地でよく見るハシボソガラスやハシブトガラスがカラス属(学名はCorvus)に分類されるのに対し、それとは別のホシガラス属(同Nucifraga)に分類されています。種の学名はNucifraga caryocatactesといい、英語ではspotted nutcrackerと呼ばれます。学名の属名と種小名、および、英名の中のnutcrackerは、全て「堅果(ナッツ)を砕くもの」という意味です。好んでナッツを食べることが最も目立つ特徴だとみなされていることを窺わせますが、実際、ホシガラスにとっては松の実が重要な食べ物なのです。日本では主にハイマツの実です。

ホシガラスがハイマツの実を食べるときは、球果(まつぼっくり)をまるごと木からもぎ取ります(写真2)。これには力が要るようで、撮影したときはバランスを崩しそうになって羽をばたつかせていました。もぎ取った球果はその場では食べず、決まった場所へ運びます(写真3)。ハイマツの球果は二年目に成熟しますが、成熟してもあまり開きません。ホシガラスは丈夫かつ器用なくちばし(写真4)を駆使して球果を壊しながら、その中の種子を食べます。ホシガラスがハイマツを食べる場所には、食べた跡がたくさん残っています(写真5)。

厳冬期には、高山に留まるライチョウと違って、ホシガラスは標高の低いところへ移動しますが、春になると早くから戻ってきます。このころは、雪の上で昆虫などを探し回って食べる様子を見ることができます。写真6を撮影したときは2羽のホシガラスが右に左にと飛び歩きながら、双翅目(ハエやカの仲間)と思われる小さな昆虫を次々に捕らえて食べていました。鳥類にとっては間もなく繁殖シーズンを迎える季節です。とりわけホシガラスは他の鳥より早く繁殖活動を始めるとされています。登山者にとっても、活発に動くホシガラスを見て楽しめる季節です。

(広報普及科 堀野 眞一)

写真3. 決まった場所へハイマツの種子を運んで食べる
写真3. 決まった場所へハイマツの種子を運んで食べる(8月、早池峰山)

写真4. 強くて器用なくちばし
写真4. 強くて器用なくちばし

写真5. 食事の跡
写真5. 食事の跡(9月、笠ヶ岳)

写真1. コメツガの樹上で朝日を浴びる
写真1. コメツガの樹上で朝日を浴びる(8月、五葉山)

写真2. ハイマツの球果をもぎ取る
写真2. ハイマツの球果をもぎ取る(9月、笠ヶ岳)


 

 

写真6. 昆虫を狙って

写真6. 昆虫をキャッチ
写真6. 昆虫を(上)狙って、(下)キャッチ(4月、八ヶ岳・赤岳と横岳の間)

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