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ホーム > 研究紹介 > 研究成果 > 研究発表会等 > 合同成果報告会 > 平成25年度  岩手県林業技術センター・森林総合研究所 東北支所・森林総合研究所 林木育種センター東北育種場  合同成果報告会  要旨

更新日:2014年3月12日

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平成25年度 岩手県林業技術センター・森林総合研究所 東北支所・森林総合研究所 林木育種センター東北育種場 合同成果報告会 要旨

森林からの流出水に含まれる放射性物質

独立行政法人  森林総合研究所  東北支所  森林環境研究グループ長  篠宮  佳樹

2011年3月福島第一原発事故により放射性物質(主にセシウム134、セシウム137)が森林に沈着した。

森林は放射性セシウムを森林生態系内に保持する傾向が強いと考えられているが、地形が急峻で雨量の多い我が国の場合、降雨に伴う出水時に渓流水を通じて下流に流出する懸念がある。

そこで、福島県の森林で渓流水に含まれる放射性セシウムの動きを調査した。

今回は、2012年で最大の降雨に伴う出水時、及び1年間(2012年)の放射性セシウムの流出量とその特徴について報告する。

調査は、福島県郡山市(福島第一原発から西へ約70 km)のスギ、ヒノキ、落葉広葉樹、アカマツが混在する集水域で行った。

現地で流量や濁度を観測し、出水時の渓流水は自動採水器により採取し、持ち帰ってから渓流水中の濁り成分(以降、SSと表記)濃度や放射性セシウム濃度を測定した。

その結果、2012年で最も大きかった降雨(6月19~20日、台風4号に伴う総雨量168 mm、最大降雨強度34 mm h-1)では、降雨強度や流量が最大の時にSS濃度も最大となり、同時に放射性セシウム濃度も最大を示した。

雨がやむと、SS濃度や放射性セシウム濃度は急激に低下した。

この出水に伴うセシウム134・セシウム137の合計流出量(約120 Bq m-2)は現地の沈着量約134kBq m-2(文科省航空機モニタリング)の0.09%であった。

濁度とセシウム137濃度の関係を基に、2012年3月20日~2013年3月14日(360日間)のセシウム137流出量を積算したところ、約200 Bq m-2であった。

日雨量5mm以上の日を出水時、それ未満の日を平水時とすると、セシウム137は出水時に90%が流出していた。

2012年のセシウム137流出量は現地のセシウム137沈着量約79 kBq m-2の0.25%であった。

出水時に渓流水を通じて放射性セシウムが流出しているけれども、台風による大きな出水であっても年間でみても森林の放射性セシウムの流出率は非常に小さく、森林に沈着した放射性セシウムの大部分は森林内にとどまっていることがわかった。

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地上性小哺乳類への放射性物質汚染程度

独立行政法人  森林総合研究所  東北支所  主任研究員  生物多様性研究グループ  島田  卓哉

福島第一原子力発電所の事故(2011年3月)によって大量の放射性物質が大気中に放出され、広範な地域が放射性物質によって汚染された。

放射性物質の大半は海洋および森林へと降下したと考えられるが、森林に生息する動物にどのような影響を与えるのだろうか。

森林に降下した放射性物質は、落葉層や土壌の表層に蓄積し、時間の経過とともに土壌への移行が進んでいる。

このような地表・地中を生活圏とする小型哺乳類(齧歯類および食虫類)は、森林生態系における放射性物質の蓄積動態を解明し、モニタリングするための指標動物としても重要である。

そこで、福島県川内村(原子力発電所から30 km、空間線量−平均3.6 µSv/hr)と茨城県北茨城市(同70 km、空間線量−平均0.2 µSv/hr)において小型哺乳類の捕獲を実施し、放射性セシウムの蓄積量(内部被曝量)を測定した。

高線量地のアカネズミの放射性セシウム蓄積量は、2011年(平均4,400 Bq/ kg、最大18,000−最小900 Bq/kg)よりも2012年(平均6,000 Bq/ kg、最大19,500−最小600 Bq/kg)でやや増加し、いずれの年でも蓄積量に個体変異が大きかった。

一方、低線量地では、アカネズミの放射性セシウム蓄積量は約70%も減少していた。

高線量地で認められた時間経過による放射性物質の物理的減衰とは逆の蓄積量の増加傾向は、放射性物質の環境中の移動などを反映した結果であると考えられた。

また、安定同位体分析の結果から、放射性セシウム蓄積量の個体変異は、食性の個体毎の違いを反映しているものと考えられた。

すなわち、キノコや土壌動物など線量の高い餌を採餌する個体は放射性セシウム蓄積量が高くなる傾向が認められた。

今後これらの小型哺乳類を中心に、放射性セシウムの移行・蓄積や個体変異などのメカニズムを明らかにするために継続的な調査研究が必要である。 

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