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急速に失われつつある貴重な森林資源の多様性を確保し、次世代へ引き継ぐことを目的に、絶滅の危機に瀕している天然記念物や巨樹・巨木などの林木の遺伝資源を探索・収集し、増殖・保存を行うとともに特性についての評価を行っております。これらは、「農林水産省ジーンバンク事業」として昭和60年から取り組んでおり、平成13年度からは、森林総合研究所林木育種センターの「林木のジーンバンク事業」として実施しています。
針葉樹・広葉樹を問わず、有用な育種対象樹種や、巨樹・名木、希少樹種等を中心に、多様な遺伝資源を収集しています。収集した遺伝資源は、つぎ木やさし木等により同一遺伝子を持った苗木として増殖し、種子・花粉の場合は冷蔵・冷凍保存します。保存した遺伝資源は数カ年に渡り特性を調査し、評価をします。蓄積された評価データ等は、遺伝資源を利用しやすくするために林木遺伝資源データベースとして広く一般に公開されています。
穂木の収集:伸縮可能な15mの長い竿で枝を採取 増殖作業:クリのつぎ木
ジーンバンク事業の一環として、平成15年12月から取り組んでいます。天然記念物等の極めて優れた後継樹(クローン苗木)を増殖してほしいとの要請に応え、無料で増殖し後継樹として里帰りを行っています。
平成29年度末までに、関西育種場では95件の増殖依頼を受けており、うち85件はすでに里帰りしています。(里帰りの様子)
京都御苑の御所御車返し 御所御車返しの里帰り
森林総合研究所林木育種センター関西育種場の敷地内には、選抜された成長の良いスギ・ヒノキや、マツノザイセンチュウによる害に抵抗力を持つマツ等のクローン(原種)を保存しており、管内の各府県から種苗配布要望があれば、これらの木から穂木を採り、つぎ木苗を生産するなどして配布しています。
配布した苗木等は、要望府県の採種園・採穂園造成等に使われ、そこで生産された種苗等は苗木生産業者を通じて林業家等に供給されます。
スギの原種園(山陰増殖保存園) スギの採穂例
つぎ木作業(マツ) 養苗中のつぎ木苗
新品種等の利用を促進するため、管内の府県等の育種担当者を対象に林木育種技術講習会の開催及び現地指導を実施しています。
DNA分析 人工交配 整枝剪定
マツノザイセンチュウ抵抗性検定 スギミニチュア採種園管理(福井県) マツのつぎ木(和歌山県)
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