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ホーム > 環境報告書2021目次 > 環境報告書2021-2 TOP MESSAGE

更新日:2021年9月30日

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2. TOP MESSAGE

 

森林を通じて持続可能な社会へ

国立研究開発法人森林研究・整備機構
理事長

 理事長の自署

 理事長の写真 

 

国立研究開発法人森林研究・整備機構(以下「森林研究・整備機構」という。)は、森林・林業・木材産業と林木育種分野を総合的に扱う我が国唯一の試験研究機関である森林総合研究所と、水源林造成業務を担う森林整備センター及び森林保険業務を担う森林保険センターの3つのグループからなり、北海道から九州・沖縄まで日本全国にわたって拠点を設置して、全国的に森林に関する様々な業務を展開しています。
森林は、水循環や大気中の二酸化炭素吸収への深い関わりを通じて、人類の生存に必要な地球環境を形成するとともに、国土保全、水源涵養(かんよう)、林産物生産などの機能によって私たちの日常生活を支えています。我が国は山地が多く、国土の7割が森林で覆われていますが、その森林の4割は人の手によって造成されてきた人工林で、現在の森林の恵みは先人たちの努力の賜物です。そして、その多様な恵みを今後も享受していくためには、将来にわたって持続的に森林の保全や整備を進めていく必要があります。
国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成には、森林が持つ多面的機能が重要な役割を果たすと期待されています。また、2016年に発効したパリ協定の目標の達成のために、2050年までに二酸化炭素の実質排出量をゼロにする取組が世界的に進められている中、我が国においても2050年カーボンニュートラルの実現に向け各方面で動きが活発化しており、森林・林業分野への期待も高まっています。
森林研究・整備機構は、森林を巡る国内外の様々な課題解決に向け、科学技術、行政施策、社会経済活動、国際協力に貢献していくために、森林の様々な機能を高度に発揮させる適切な森林管理技術の確立を進め、国内外の研究機関等と協力して気候変動の緩和に関する研究に取り組むとともに、持続的な林業システムの構築や木質資源の有効利用技術の開発、二酸化炭素吸収能力の高い品種の開発・普及などを推進しています。また、水源林造成業務を通じた公益的機能の高い奥地水源林の整備や、森林保険業務を通じた健全な林業経営の支援を進めています。
令和2年度で5年間の最終年度を迎えた第4期中長期目標期間においては、研究成果を最大化するための「橋渡し」機能を強化し、造林の低コスト化技術の開発、高層木造建築の実現に必要な基準改正等への貢献、工業材料としての改質リグニンの開発等、産学官の連携と研究成果の社会還元に向けた取組に注力し、所期の成果をあげてきました。また、激甚な自然災害が多発する近年、森林総合研究所と森林保険センターが連携して進めた森林気象害のリスク評価に関する研究も実を結んできています。森林整備センターでは、台風災害による林道被害箇所において、地域の要請を受け、災害査定関連業務等への支援を行ってきたほか、令和3年3月には、各種の森林施業の目的・手法等と水源涵養(かんよう)機能等の森林の有する公益的機能などに係る科学的な知見に基づく解説を盛り込んだ「水源林造成事業の施業指針」を策定し、造林者や地域の林業関係者の皆様への普及を進め、森林整備技術の橋渡しに努めています。
このような中、国内では新型コロナウイルス感染拡大防止対策を機に、テレワークの普及を含め、新しい生活様式に関する議論が進みました。森林・林業・木材産業も取り巻く環境の変化を踏まえ、分散型社会の構築やデジタル技術によるイノベーションの推進など新たな役割を果たすことが求められています。
森林研究・整備機構は、森林に関わる関係省庁、産業界、教育機関、森林所有者、森林の恵みを受け取る国民の皆様、さらには国際機関との連携を密にして、総合力を発揮する中核的機関としての役割を担い、これまでの取組を一層発展させつつ、令和3年度から始まる第5期中長期計画に基づき、様々な業務に取り組んでいきます。この中においても、機構の役割としての環境問題解決への貢献を高めてゆくと同時に、事業における環境対策も強化してゆく所存です。
最後に、コロナ禍の困難な状況にありながらも、当機構の取組の推進に対し、ご協力いただいている関係者の皆様に、あらためて感謝申し上げますとともに、今後とも引き続き、一層の皆様のご協力、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、私からのメッセージとさせて頂きます。


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