椎名家住宅外観 This content is Japanese page only.

伝統的木構造架構の解明

---伝統的継手仕口・軸組工法に関する研究---


実大架構各部の名称

釘やボルトなどの接合金具を用いずに純粋に木材のみで継ぎ手を構成することは、設計者の間で耐久性・審美性・施工性・等の点から好ましいと考えられている。また、廃棄物処理やリサイクルの点でも伝統的接合部は再利用に向けた資源の分別や軸材料を再び軸材料として再利用するなど学ぶべき点は多い。しかし、このような接合部は一般に現代の生活習慣に基づく消費者の要求にそぐわなかったり、高度な加工技術を要する、あるいは工期や費用の面で必ずしも他の工法に優るわけではないなどの問題を抱えている。そしてまた、その継手仕口の力学的性能の評価や耐力発現機構の解明が十分に成されていない事なども耐震性のある構造物として構造設計をする場合に障害となっている。伝統的な軸組架構は日本の風土で培ってきた住文化の根幹を担い、その伝統性を持って慣習による加工・施工が行われてきた。今、科学的な解明が不十分なままこの工法を形式的に模倣して使っていくことは、かえって伝統継手仕口の本来の良さを無くしてしまうことにもなリかねない。また本質を捉えない形での技術の伝承は日本の文化の喪失に他ならない。このような伝統的継手仕口の加工に機械加工を導入したり、施工性や加工性に優れた長所を現代の接合法に取り入れるほか、大断面集成材の継手としても適用でき得る構造設計の可能な伝統的軸組工法の再興を目指して研究に取り組んでいる。また、現代の架構・接合方法で忘れられた伝統的技術の長所を現代的な手法の中に生かすと共に環境負荷の点からも再検討を加えたいと考えている。

斗組実大水平加力実験 伝統架構実大水平加力実験
Masahiko KARUBE, Ph.D.
Laboratory of Engineered Timber Joints , FFPRI
PO Box 16, Tsukuba Norin, JAPAN 305-8687
phone: +81-298-73-3211 ext.585
facsimile: +81-298-73-3798