従来木造軸組構造の接合部は、軸力・せん断力のみを伝達するピン節点として扱われ、曲げモーメントは伝達できないものとして評価され設計されてきた。 実際の接合部においても言葉どうりの状況であったのだが、これを鉄骨や鉄筋コンクリート構造のような曲げモーメントも伝達出来る接合部として設計できれば、平面計画や空間計画において、自由度の高い木質系軸組架構を実現できることになる。そのような状況にあって、鋼板挿入ドリフトピン接合に代表される「モーメント抵抗接合」は、他構造の接合部剛性には及ばないものの従来に比べて飛躍的に高い接合部剛性を実現した。その設計評価手法においても、剛節に足らない「半剛節」として設計に活用できる状況にある。またさらに応用技術を付加することによって、大規模木構造や2方向ラーメン構造、そして将来的には多層木質系建築物を実現することも技術的には可能である。 接合研究室では接合部の部分的な実験はもとより、実際の建物を模した実大規模の木構造架構試験体を破壊実験し、数値解析とあわせて構造設計方法を提案、その普及と一般化に努力している。