A1:森林生態系多様性基礎調査(旧森林資源モニタリング調査)の調査チームと十分な連携がある場合は、正式な杭を打ち直してよい。連携のない場合は、調査時に仮設杭を打ち、終了時に撤去する。位置は、巻き尺とコンパスを使い、森林生態系多様性基礎調査と同じ方法で決める。
A2:条件により正方形のプロットが許されており、ごく少数ではあるが方形プロットが存在する。その場合は角を基点として調査する方法に変更し、様式A2* 方形プロット用を用いて調査する。
A3:台風などの大雨の後は数日間空けて調査する。通常の雨の場合は翌日調査可能で、少量の雨なら断面がぬれないようにすれば調査できる。前日の天気の影響をうけていそ うな場合は様式A5 の備考欄に記載する。
A4:調査位置(中心へ向かって2m、右に2m)が攪乱や岩、根株などで適当な場所でない場合は、ラインから右方向にさらに2m 以内で追加した範囲(2〜4m)付近で調査可能な場所を選ぶ。厳密に直線上で選ぶ必要はないし、2m おき(4m の地点)に設置することもない。
A5:調査位置が伐跡地でも同じように調査する。伐跡地のように全面的に攪乱が見られるような場所では、その状態が標準と考える。土場や集材路も同様である。表土が剥がれていたり、覆土されていたりしてもかまわない。将来、森林となるはずで、その変化がわかる。
A6:調査位置が歩道や踏み跡、ガレている場合は、さらに2m 程度の範囲(2〜4m) 付近で選ぶ。人工建造物や森林以外の土地利用になった場合を除き、上記範囲がすべて同じような状態なら調査する。様式A5 の備考欄にその様子を記述するとともに、状況がわかる写真を撮影する。
A7:さらに2m 進んで森林ならば、そこで調査をする。そこも「他の土地利用」なら、その場所の土壌炭素蓄積量調査を行わない。様式A2 にそのことがわかるように「畑のため080295E は未調査」などと記載し、その状況を写真撮影する。
A8:火山泥流や未熟土などでは土層が非常に浅い場合がある。たとえ土層が薄くても岩盤までの土壌を調査し、試料を採取する。様式A5 の備考欄に掘れない理由を記載する。0〜5cm の最表層の円筒は、50×50cm の範囲にこだわらずに周辺で取れるところを探して採る。どうしても円筒が取れない場合は、幅20×奥行20×厚さ5cm の直方体でブロックサンプリングを行う。土層が5cm 未満(5cm 以内に岩盤にあたる)の場合でも、そのことを備考欄に記述しサンプリングを行う。その採取試料の大きさを様式A5 の試料確認欄に記載する。
A1:大円内であれば、粗大な枯死木はすべて測る。
[追補:2012/07/10]伐採跡地は森林法第2条において木竹の集団的な生育に供される土地として森林に定義される。伐採跡地においても大円内であれば、粗大な枯死木はすべて測る。
A2:ラインインターセクト法では、樹種、分解度、ライン上の直径を測定する。ラインの両側各1m の範囲の全数調査では、樹種、分解度、直径、地際高、地際直径を測定し、写真を撮影する。ライン上の根株は、2 通りの方法で測定することになる。
A3:ラインインターセクト法による根株の測定において、テープのかかった根ばりの直径が5cm 以上あれば、根株として根ばり部分のみの直径を測る。
A4:ライン上で1.5m より低い倒木と根株はすべてラインインターセクト法によりライン位置で直径を測る。また、ラインの両側各1m の範囲の全数調査では、根元の位置が範囲内にあれば測定するし、根元の位置が範囲外であれば測定しない。
A5:縦断地形のスケッチは地形の概略がわかる簡単なものでよい。どうしても様式のスケッチ枠に収まらない場合は、別葉の書類としてスケッチを提出してもよい。
A6:扁平な材は長径と短径を記載する。欠けた材は、円として計算した場合の断面積に対する実在する材の割合を残存率欄に記載する。
A7:枯死しているタケは、本マニュアル表A 2(p.23)に従い、直径5cm以上の枯死したタケの稈の直径と分解度(a〜cの3段階)を測定する。立枯木、根株については樹木と同じ基準で測定する。
A8:「トマリタケノコ」は比較的すみやかに分解してしまい1 年後にはほとんどなくなるので、測定しないこととする。
A9:その場合は写真を撮らなくてもよい。
[訂正:2012/07/10]真上からの写真は撮らなくてよいが、基準尺と番号札が写り込むように配置して、根株全体の様子がわかるように写真撮影する。
A10:胸高よりも低いところで分かれている場合はすべて測定する。但し、胸高直径5cm未満のものは測定しない。
A11:写真A3 を参考に、融合している場合を除いてすべて別々に測定する。その場合、根株直径が5cm 未満のものは測定しない。
A12:高さの判定は地際高(上)を基準とする。従って、上記の場合は根株と判定する。
A13: 周囲木がない場合は、周囲木が取れなかった理由を欄外に記載して測定はしなくてよい(例:皆伐によって根株と同等の樹種なし 等)
追補A1:土地利用が森林の範囲の両端に仮設杭を打って、枯死木調査ラインとする。測定可能な範囲が分割されている場合は、調査可能な範囲毎に調査測定する。
追補A2:現存する直径を計測して記載する。その際に断面の円が欠落していたときは残存率を記載する(図参照)。広葉樹の枯死木では、周囲が残り、中が抜け落ちるように分解する場合もある(図c)。そのときは内部の抜け落ちた部分を考慮して残存率とする。分解とともに周囲が脱落して、元の外形を留めていない場合は、現存する直径を記載し、残存率は記載しない。
追補A3:根株として測定する必要はない。萌芽している場合と同じで、1本でも伐られずに残っていた場合は個体としては生きているものと考えるので、伐られた部分についても測定する必要はない。
追補A4:癒着部分の長さが細い個体の周囲長の三分の一より少ない場合に、別々の個体とする。
A1:葉の部分が多ければL、葉の部分が少なければT とする。現場でわからなければ、室内でT とL を分けても良い。
A2:枝は腐っていてもすべてT に入れる。落葉に隠れている枝などの場合、5cm 以上のものでもT として採取する(隠れた部分はラインサンプリングで測定されないので)。樹皮も区別できるならT としてあつかう。細かな樹皮や材の破片はL またはF としてよい。
A3:球果はT に入れる。ただし、葉についた球果は切り離す必要はなく、葉と一緒にL に入れて良い。
A4:L とF(およびH) は現場で分けておかないと混ざってしまい室内で区分けするのは難しい。必ず現地で分けて採取する。
A5:専用のフレームを使用してもよい。スケールを枠に記す。
A6:例えばコシダやササなどのように、林床植生で立ち枯れた状態のものは採取しない。根から脱落しているものだけを採取する。
A7:枝の直径が5mm の部分で切り分ける必要はない。5mm は目安であって、多少細い枝がT に混入してもよい。
A8:L やF の試料には、礫を混入させてはならない。礫が混じりそうな場合は、その時点でL やF の採取を終了してよい。堆積有機物の炭素蓄積量は採取重量に炭素濃度を乗じて求めるので、落葉より著しく重い礫が混入すると炭素量計算に大きな誤差が生じる元となる。礫の混入防止には、特段の注意を払うこと。
A9:F である。菌糸マットはF 層に現れればF として扱い、鉱質土壌中に現れれば土壌試料として扱う。
A10:台風などで落ちた大きな葉付きの枝など不自然なものが横たわる場合は通常避けて、枠を設置する。台風で落ちた緑葉は採取しない。ただし時間が経てばわからなくなるので、その場合はL に入れる。異常と思われることがあれば、様式A5 の備考欄に気づいたこととその対応を記入する。
A11:落葉と同様に扱う。タケノコの皮やササの桿が含まれていた場合、それが新鮮で形が残っていればLとし、分解が進んで破片となっていればF として採取する。
追補A1:枝の部分が多ければそのままTに入れてよい。(Q1参照)
追補A2:よくない。堆積有機物層はL, F, Hの各層を上から順次はぎ取るように指でつまんで採取する。バットなどにまとめて採取したものを分け直す方が余計に手間がかかる。(Q4参照)
追補A3:多いときには厚さ10cmを超える場合があり,採取すると全体で40L近くに達して1つの袋に入りきらないこともある。これは稀な例であり、少ないところではほとんど0の場合もある。
A1:両方必要である。A 層の厚さの記載、および、写真ではわかりにくい石礫率は必ず様式A5 に記載する。
A2:時間がかかるので奨めない。1-2cm の目の粗い篩で仮に篩うことは可能である。
A3:5〜15cm 、15〜30cm の深度の土壌は、広い面積から採る必要はないが、深さによって炭素濃度は異なるので、各深度の上端から下端まで深さの範囲全体から均等に採る。採取した試料が多くなった場合には、十分攪拌した後に必要量を採取する。断面の採取層位の最下端にバットをあてて集めるとよい。
A4:方法や精度については、海外の情報も合わせて検討し、国際理解が得られるように決めたので、これ以上の簡略化は信頼性を損なう恐れがあり難しい。調査は慣れや工夫によりかかる時間がかなり異なる。円筒採取などは事前の練習により作業効率が上がるので効果的である。具体的な改善策が提案されれば検討したい。
A5:土色帖にある量割合を示すチャートを必ず参照しながら判定する。個人差をある程度解消できる。
A6:白と黒と反転させて判断する。たとえば20%は80%と読み替えられる。
追補A1:マニュアルには定義していないが、本調査は生物多様性基礎調査(旧森林資源モニタリング調査)と同じ場所でそれに準じて概況調査を行っている。したがって、局所地形は、森林資源モニタリング調査実施マニュアル(平成21年、林野庁計画課)の(8)ア 地形概況、または、土地分類基本調査の分類に従い、地形調査作業規程準則(国土交通省の土地分類基本調査(昭和二十九年七月二日総理府令第五十号)の別表二を参考に記載する。
追補A2:堆積有機物層の上に土砂が被って堆積している場合や、堆積有機物層が鉱質土壌と混じった状態になっている場合は、土砂の層の上端あるいは土壌が混じった堆積有機物層の上端を深さ0cmとして記載し、サンプリングする。様式A5の備考欄に堆積有機物層の撹乱状態を記載しておく。
A1:良くない。1深度毎に定体積試料と化学分析用試料を交互に取る。
A2:円筒がたくさんあるなら推奨できる方法である。
A3:その通りであるが、礫から土を丁寧に落さなければいけない。現場の時間を短くするには大きな礫以外は全量持ち帰り、研究室で分けた方が精度も高い。
A4:精度を考えて400mL にした。事前の調査によると100mL を多数とるのと時間的には大差なく、また100mL は過少評価となりやすいことがわかった。
A5:円筒を取れる場所が限られそうなときは、化学分析用試料より円筒を先に採取する。
A6:円筒の採取は諦めて、20×10×10cm の直方体のブロック状で採取する。ブロック内の大きな礫を除きつつ、隙間の土壌を集める。大きな礫は捨てて良いが、礫に付着した土はすべて採取しなければならない。
A7:一面に礫がある場合は、20×20×深さ5cm の範囲(2000mL)をブロックサンプリングの試料採取の方法で採取し、袋にVB と記すとともに、様式A5 にブロックのサイズを記す。
A8:20×10×10cm のブロックが基本であるが、状況に応じ適宜変更してよい(試料採取時に崩れてしまい採取範囲が大きくなった、巨礫の隙間から広めに取った等)。石礫率が高く、大きな礫の場合には、ブロックのサイズを4L〜5L に増やす方が正確である。礫を捨てれば、持ち帰るサンプルは0.5〜1kg 程度に収まる。ただし必ずブロックのサイズを様式A5 の試料記入欄に記入する。さらに、データ入力時にも忘れずに記載する。
A9:化学分析用の土壌試料と円筒の試料は同じ基準を用いる。そのため、腐朽礫の多い層位で、直方体ブロックを取るときには現場で可能な限り腐朽礫を捨てて細土だけをサンプルとして持ち帰る。ただし、細かな礫の場合、現場で細土だけを分け取るのは難しいので、全量採取する。
A1:林床の植物を刈り取った後、堆積有機物の写真を撮る。
A2:横向き撮影を基本とする。林内の写真はなかなかうまく取れないもので手振れしやすい。土壌断面でストロボを使うと写るが、礫や根の状態がわかりにくくなることが多い。デジカメなのでいろいろためしていただきたい。ストロボの有無などで複数枚撮影したときは、ファイル名で撮影地点がわかるようにしてすべて送ってほしい。
A3:調査できない状況が確認できる写真を撮影して提出する。
追補A1:3MBを上限目安とする。画素数は300万画素以上あれば十分である。
追補A2:水平である必要はない。林況がわかることが大切である。
追補A1:試料リストは4か所の断面調査毎に記入するのではなく、調査を終えて現地を出発する前に1か所に全試料を並べて記入する。暗くなってしまったなど調査プロットでの確認が困難な場合には、クルマでの荷積みや宿舎での荷造り時などに記入する。