STORY 開発ストーリー
2010
新技術
「湿式ミリング処理」
の開発
腐敗しにくい木材が土壌中で微生物に分解されるプロセスを明らかにするために、木材を1/1000mm以下に微粉砕 する「湿式ミリング処理」の開発に成功。何年もかけて徐々に分解される木材が数日でカビに覆われるようになる。これを見て木材を「発酵」させてなにか製品を造ることができるのでは、と思いつく。
2012-2016
木材の
メタン発酵技術の開発
湿式ミリング処理とメタン発酵を組み合わせて、木材からメタンガス燃料を製造するプロセスの開発を開始。木材を原料に新しい再生可能エネルギーの生産技術開発を目指して福島県南相馬市小高区で2013-2014にかけて実証試験を行った。メタン発酵の実証試験を進めながら福島の美味しい日本酒を飲むうちに木をアルコール発酵させればお酒になるのでは、と考え始める。
2016-2017
世界初の
「木のお酒」を造るため
何度も相談を
お酒を製造するためには試験研究であっても酒造免許が必要であるため「木の酒」の試験製造に先立って、税務署へ酒造免許取得について相談を開始。しかし酒造免許は酒税法によって酒類ごとに定められており、木から造られるお酒についてはどの種類にも当てはまらなく酒造免許交付は難しいことが判明。そこで、税務署をはじめとし国税局、国税庁の皆様に木から造られるお酒の製造方法や可能性について説明を重ね、最終的に現行法律の中で酒造免許が交付可能との判断を得る。私どもへの酒造免許交付に尽力いただいた税務署、国税局、国税庁の皆様には大変感謝しております。
2017-2022
「木の酒」製造を開始、
安全性試験を行う
人類史上誰も飲んだことのない「木の酒」には安全性に関するデータが何もないため安全性試験が必要であった。そこで酒造免許取得後の2017年から「木の酒」の製造プロセスを整備し、2019年より試験サンプル製造、2020年から2022年にかけて試行錯誤しながらスギ、シラカバ、ミズナラ、クロモジの4樹種から「木の酒」を造り、安全性試験(食品分析、遺伝子突然変異誘発性試験、急性経口毒性試験、反復経口毒性試験など)を行なった。その結果、問題となるデータはなかったことから、2022年より試飲アンケート調査および民間への技術移転を開始した。
2023
木質バイオマス
変換新技術研究棟
(通称:木の酒研究棟)
の新設
2023年に森林総合研究所(つくば市)に新たに木質バイオマス変換新技術研究棟(通称:木の酒研究棟)を新設。この研究棟では丸太から「木の蒸留酒」までを一貫製造できる設備を完備。本施設は「木の酒」の研究開発の場だけではなく、「木の酒」の事業化を検討する酒造メーカー様への技術研修の場でもあり、「木の酒」を日本各地へ事業展開を促進する本拠地として動き始めた。