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「夏や秋にチョウがいるんですか?」と聞かれることがある。小学校で一学期にモンシロチョウとアゲハを飼育してその生活を習うため,どうもチョウ=春というイメージが植えつけられてしまっている人が多いようだ。
ナミアゲハは日本のチョウの代表格で,全都道府県に分布する。春早くから秋まで見られ,農村部にも都市部にも多い。古くからある家なら,ナツミカンが庭先に植えられているかもしれない。最近では,砂糖をつけなければ食べられないような,あの酸っぱいナツミカンが食卓に上がることはなくなったが,残された木はチョウにとっては重要な発生源だ。ホームセンターの苗売り場で,ミカン類の葉に卵が産まれていることもある。
アゲハ類の卵は,まるで真珠のようにまん丸だ。蛹は,枝や建物の壁などについて越冬する。日本のアゲハチョウ科には,幼虫や成虫で越冬する種はいない。科学園記録種。(た)
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