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もうずいぶん前からですが,森の科学館裏の池のわきにあるニワウルシに実がなっています(左写真)。ニワウルシは,葉がウルシ(ウルシ科)に似ていることから「ウルシ」と名付けられていますが,分類上はウルシと別でニガキ科に属しており,かぶれることもありません。
中国原産の木で,明治初期に渡来し,エリサン(ヤママユガ科)という野蚕の餌として,各地に植えられたこともあり全国に広がっています。
ニワウルシの実を見ると,ねじれた翼が付いていて(右写真),飛ばされると回転して滞空時間を長くする役に立っているようです。種子が風で分散されるだけでなく,まわりに張っている根からもたくさんの根萌芽という幹が出ている様子が第1樹木園(廿里山神の横〜裏)で観察できます。このようにして,ニワウルシは植えられた場所から二刀流でどんどん広がるので,樹木園の管理の際に困ることがしばしばあります。
ニワウルシは別名としてシンジュ(神樹)とも呼ばれますが,日本在来種でエリサンの別亜種のシンジュサンという蛾がいて,その名前は食樹の一つがシンジュであることに由来しています。(し)
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