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サクラ保存林の木の枝にヤマノイモの種子と枯れたつるが巻き付いて、カサカサと風に揺れています(左写真)。初夏につるが木の幹や枝に巻き付いて登り、夏の間にしっかり光合成をして花や種子をつけ、秋から冬にかけてつるが枯れて、種子の近くだけが取り残されています。
ヤマノイモは雌雄異株で、これは雌株です。夏に雌花の根元にあった子房の翼が、秋に成熟して大きく張り出し、種子を包む薄い円形の大きな翼が出来ています(中写真)。この翼は2枚重ねになっていて、その中にまた「翼のある種子」(右写真)が入っています。これから冬の間に少しずつばらばらになり、風に吹かれて飛んでいくのでしょう。
ヤマノイモは、根に出来るイモに蓄えた栄養で次の年の自株の生長を行い、葉腋につく珠芽(むかご)が近くにこぼれ落ちて生長することで別の株として栄養繁殖し、さらに種子が風で遠くに運ばれて発芽することでも繁殖する、という多種類の方法を同時に進めています。(よも)
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