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ヤマグワの実が色づいています(左写真)。毛が何本か飛び出して見えたり、あるいは黒いイモムシのようにも見える実で、とりつきにくい気もしますが、見た目に惑わされずに口に入れてみると、少し甘い味のする果実です。クワの実はマルベリー(mulberry)と呼ばれ、ブラックベリーやクランベリーなどと同様にベリー(多肉質の小果実の総称)のひとつとして認識されています。
ヤマグワは雌雄異株で、雄木と雌木があります。葉の形は、切れ込みのないものから(左写真)、3-5裂に深く裂けるものまで(中写真)さまざまです。丘陵から低山地に多く、園内でもあちこちで見かけます。
ヤマグワに近いマグワ(中国原産)は絹を生産するためのカイコ(蚕)の餌としてかつて盛んに使われ、人里近くで野生化したものが見られます。実を見ると、ヤマグワの実には左写真のように長い毛(正確にはめしべの花柱)があり、マグワの実にはないことから区別できます。
園内のヤマグワには、カイコの祖先と考えられる野生の蛾であるクワコの幼虫(右写真)が時々見られます。(写:よた、文:よ)Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.