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ウラナミアカシジミは、生息地として特に若いクヌギ林を好み、その意味で伐採と萌芽更新によって維持されてきた薪炭林と強く結びついて生きてきたチョウだ。
雑木林は、かつて燃料や肥料を生産するための重要な場だったが、1960年代以降その役割を失い、都市の周辺では宅地開発などで縮小・消滅してきた。残された林でも、樹木が大きくなりすぎ、林床をササが覆い、ゴミの不法投棄が目立つようになった。
もしこのチョウを見かけたら、人とともに生き、そしてまた人に追われつつある彼らの歴史にもちょっとだけ思いを馳せて欲しい・・・。紀伊半島南部のウバメガシ林に発生する集団は、別亜種とされている。多摩森林科学園記録種。(た)Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.