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ハゴロモの成虫(8月)

ハゴロモウドにたかっていたハゴロモ類が成虫になってきました。写真には,スケバハゴロモ,ベッコウハゴロモ,アオバハゴロモの3種が同居しています。

ハゴロモは小さなセミに近い昆虫です。ストロー状の口を植物に突き刺して師管液を吸います。植物の茎の中の篩管と呼ばれる管には、太陽の光を受けて葉などで合成された栄養分(主に糖分)を豊富に含んだ液が流れているのです。

幼虫は,ロウでできた白い毛のようなものをまとっています。ハゴロモのように師管液を餌とする昆虫は,当然ながらアミノ酸も師管液から摂りますが,餌中のアミノ酸は糖分と比べてずっと少ないので,必要量のアミノ酸を摂るためには,糖分が過剰になってしまいます。そのため,ハゴロモ類の幼虫は,過剰な糖分(炭素)をロウ(ワックス)に作り替えて,カモフラージュの材料として利用しているのです。

同じように師管液を餌とする昆虫で,ロウを作らない種類も沢山いますが,やはりアミノ酸が必要であることには変わりありません。そのような昆虫は,過剰な糖分を甘いオシッコ(甘露)として排泄しています。そうした虫が数多くたかっている木の葉の表面は,虫が出した甘露のため糖分だらけでカビが生えやすくなっています。

カイガラムシやアブラムシがたかっている木の葉は,しばしば煤(すす)のような黒い膜で覆われていることがあります。これを「すす病」と言いますが,その原因は,甘露に黒いカビが生えるためです。(し)

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