文字サイズ
縮小
標準
拡大
色合い
標準
1
2
3

森林総研トップ

ここから本文です。

アオマツムシ(9月)

アオマツムシTruljalia hibinonis (Matsumura, 1917) 。成虫は鮮緑色だが若齢幼虫は茶褐色。体長21-23mm。樹上性で,市街地や明るい2次林に普通。チリー・チリーと高く大きな声で,日没直後によく鳴く。

明治ごろ渡来した外来種で,本州(岩手県以南),四国,九州,隠岐,五島列島に分布する。原産地は中国。輸入苗木について侵入したと思われる。

在来の「鳴く虫」たちには,長年の共存の結果,鳴く時期,鳴く時間帯,鳴く場所,鳴き声の周波数などが重ならないよう音による「すみわけ」が成立しているが,外来種であるアオマツムシは声が大きい上,倍音構造を持つため周波数が重なり,多くの在来種の声が聞こえにくくなる。

アオマツムシの基音(基本周波数)は5.5kHz付近だが,その第2倍音(基音の2倍の周波数をもつ)は11kHz, 第3倍音は16.5kHzとなっている。多くのコオロギ類の鳴き声は5kHz近辺で,ウマオイなどキリギリスの仲間は10kHzくらいであるから,これら両方の在来種たちの鳴き声にかぶることになる。(や)

9月の自然探訪一覧