研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2012年紹介分 > 地球全体での土壌からの温室効果ガス吸収・放出量の推定 ―モデルを用いた解析から明らかに―
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2012年9月7日掲載
論文名 | A new estimation of global soil greenhouse gas fluxes using a simple data-oriented model (シンプルなデータ指向型モデルを用いた土壌温室効果ガスの新しい全球推定) |
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著者(所属) |
橋本 昌司(立地環境研究領域) |
掲載誌 |
PLoS ONE(Public Library of Science, 米国)、2012年 8月2日、DOI:10.1371/journal.pone.0041962(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
一般に森林土壌は有機物の分解過程で温室効果ガスである二酸化炭素ガスと一酸化二窒素ガスを放出する一方、湿地などをのぞいてこれも温室効果ガスであるメタンガスを吸収しています。本研究では、地球全体の土壌温室効果ガス放出・吸収量のよりよい推定をするため、氷、水、泥炭土壌に覆われているところをのぞく地球上のすべての土壌を対象に、データ指向型モデル(大量のデータに基づいてパラメータを決定したモデル)を用いた独自の全球推定値に加え、既存の報告例も集め、全球の推定値を整理しました。その結果、二酸化炭素放出は炭素換算で年間79,000 Tg(テラグラム、10億キログラム)、メタン吸収は 炭素換算で年間21 Tg、一酸化二窒素放出は炭素換算で年間6.6 Tgであることが明らかになりました。また、それぞれの不確実性を示す変動係数も明らかにしました。大気中にはおよそ700,000 Tgの炭素が存在しており、土壌からの年間の二酸化炭素放出量は大気中の炭素のおよそ10%以上にあたることが明らかになりました。このような、全球の土壌温室効果ガスの精緻で不確実性をも評価した放出・吸収量の最良推定値の算出は世界で初めての成果です。 |
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