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黒い土の成因はススキなどC4植物だった

2013年12月24日掲載

論文名

Latitudinal gradient of C4 grass contribution to Black Soil organic carbon and correlation between δ13C and the melanic index in Japanese forest stands.(日本の森林における黒色土有機炭素へのC4草本植物の寄与が緯度で傾度を持っており、δ13C値とメラニックインデックスに相関がある)

著者(所属)

石塚 成宏(九州支所)、河室 公康(南山大)、今矢 明宏(立地環境研究領域)、鳥居 厚志(関西支所)、森貞 和仁(九州支所)

掲載誌

Biogeochemistry、2014年5月(予定)、 DOI:10.1007/s10533-013-9936-z(外部サイトへリンク)

内容紹介

日本の森林には黒色土と呼ばれる真っ黒な層をもつ土壌があります。その土壌は過去に草原植生だった時に作られたと考えられていますが、詳しい成因はよくわかっていませんでした。今回、黒色土の黒さには特定の植物群が寄与していることを初めて証明しました。

私たちは日本全国から収集した黒色土の炭素安定同位体比(炭素に含まれる13Cと12Cの比率)を測定しました。この同位体比の分析により、黒色となる土壌有機物の起源となった植物群が推察できます。分析の結果、緯度が高くなるほど(北にいくほど)、ススキなどのC4植物注)に由来する炭素の割合が減少することがあきらかになりました。これは、緯度が高くなると気温は下がっていくので、C4植物の生産力が低下し、普通の草本類であるC3植物注)の生産力が優勢になるためと考えられます。また、本州以南では、土壌の黒さの指標が大きくなるほどC4植物の割合が多くなることもわかりました。つまり、ススキなどのC4植物の繁茂が黒色土の黒さの原因であると考えられました。

注)植物の光合成には大きく分けて三つのタイプ(C3植物、C4植物およびCAM植物)があり、樹木と草本植物の多くはC3植物であり、ススキなど一部の草本植物がC4植物です。C4植物はC3植物に比べて高温や低CO2環境に強いという特徴があります。

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