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外来植物の侵略が熱帯雨林の土壌を荒廃させる仕組みを解明

2015年6月15日掲載

論文名

Erosion potential under Miconia calvescens stands on the Island of Hawai‘i.(ハワイ島への侵略的外来植物であるオオバノボタンの林における土壌侵食ポテンシャル)

著者(所属)

南光 一樹(立地環境研究領域、現:気象環境研究領域)、Thomas W Giambelluca・Ross A Sutherland・Ryan G Mudd・Michael A Nullet(University of Hawai‘i at Mānoa)、Alan A Ziegler(National University of Singapore)

掲載誌

Land Degradation & Development、Volume 26 Issue 3 pages 218-226、2015年4月9日、DOI:10.1002/ldr.2200(外部サイトへリンク)

内容紹介

外来種はその土地の在来生態系や経済に深刻な被害を与えることがあります。世界の侵略的外来種ワースト100に選定され、太平洋諸島の熱帯雨林における最悪の外来植物であるオオバノボタン(Miconia calvescens)は、在来種を消失させ森林の土壌侵食を加速することが知られており、ハワイ島でもそれが問題となっています。しかし、オオバノボタンの侵略によって土壌侵食が加速する具体的な仕組みは、これまで分かっていませんでした。
土壌侵食は雨滴が地面に衝突することで起こります。そこでオオバノボタン林と在来種の林で、林内の雨滴衝撃エネルギーを測定し、下層植生による地面の保護の様子を調査しました。その結果、オオバノボタン林では、長さ30cmを超える大きな葉の上で集まった大粒の雨滴が単層の樹冠層から直接地面に落下してくるため、小さい葉で多層の樹冠層を持つ在来種の林よりも、雨滴は大きな衝撃エネルギーを有していました。更に、オオバノボタンの分厚く大きな葉は光を透過させにくいため、林内が暗く在来種の林よりも下層植生が育ちにくいことがわかりました。オオバノボタンの侵略は、雨滴による侵食を増大させるだけでなく、地面の保護効果も失わせるという、二重の悪影響があることを明らかにしました。

オオバノボタンの侵略で土壌侵食が加速する仕組みを、具体的に明らかにすることが出来ました。この成果は、太平洋諸島の熱帯雨林における外来種侵略を防ぐためのガイドライン作成に役立てます。

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