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豪雨により斜面が崩壊する箇所を突き止める

2019年10月18日掲載

論文名

Geophysical features of shallow landslides induced by the 2015 Kanto-Tohoku heavy rain in Kanuma city, Tochigi prefecture, Japan.(2015年関東・東北豪雨による表層崩壊(栃木県鹿沼市)発生場の物理的特徴)

著者(所属)

岡田 康彦(森林防災研究領域)、小西 千里(応用地質株式会社)

掲載誌

Landslides、Springer・International Consortium on Landslides DOI:10.1007/s10346-019-01252-1(外部サイトへリンク)

内容紹介

2015年9月関東・東北豪雨では、斜面崩壊や土石流により甚大な被害が生じ、防災・減災の取組の重要性が改めて認識されました。栃木県鹿沼市では、民家の裏山で傾斜が約30度とそれほど急ではない斜面が崩壊し、土砂と濁水が流出して下流に被害を及ぼしました。この崩壊は、深さが1.5m程度で表層崩壊に分類されるものでしたが、一般的に表層崩壊が発生しやすいとされる谷頭部の窪んだ地形ではなく、ほぼ平滑で、一見すると崩壊の危険性を予測しにくい場所で発生していました。

そこで、崩壊が発生箇所と土砂が流下した付近に測線を張り、物理探査他を実施して斜面の土層の構造や硬さなどを調べました。その結果、崩壊発生箇所の近傍では、周囲に比べて空隙が多い砂質の表土層が厚く堆積しており、その深さは最大で2m近くにおよび崩壊発生の限界値に近づいていたと考えられました。

このように、地表での観察ではわからなくても地下部において地質や亀裂構造などの影響で厚い表土層が形成されて、崩壊の危険性が高まった斜面についても何らかの対策が必要になります。崩壊のメカニズムについては未解明の点も多いのですが、今回のような物理探査によって予測精度が大きく向上する可能性があります。近年は物理探査の機材の軽量化と低コスト化が進み、今後の活用が期待されています。気候変動による局所的な集中豪雨の頻発が予測されている中で、今回得られた成果は土砂災害の事前防災の向上に役立ちます。

(本研究は2019年8月24日にLandslides誌にオンライン公表されました。)

 

図:栃木県鹿沼市で発生した斜面崩壊の様子

図:栃木県鹿沼市で発生した斜面崩壊の様子

国土地理院撮影の空中写真(2015年撮影)を加工して作成。

 

図:斜面崩壊の下流側から見て右隣に設定した縦断測線で計測されたS波の速度分布

図:斜面崩壊の下流側から見て右隣に設定した縦断測線で計測されたS波(横波の地震波)の速度分布。暖色系はS波速度が小さく、空隙が多い土層が堆積していることを示す。崩壊が発生した箇所付近では、地表はほぼ平坦であるものの、空隙が多い土層が周囲よりも厚い特徴的な構造が認められる(白線は簡易な貫入試験から推定された表土層の下面位置)。

お問い合わせ先

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森林総合研究所 研究ディレクター大丸 裕武
【研究担当者】
森林総合研究所 森林防災研究領域 岡田 康彦
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
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