研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2020年紹介分 > 伐採地の「見た目」に抱く印象のズレを理解し森林管理に活かすために
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2020年8月7日掲載
論文名 |
主伐方法に対する非専門家の認知・評価傾向 |
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著者(所属) |
高山 範理(企画部)、讃井 知(筑波大学)、山浦 悠一(四国支所) |
掲載誌 |
日本森林学会誌、102巻3号、180-190、日本森林学会、2020年6月 |
内容紹介 |
森林の「見た目」の印象は立場によってズレがあり、その人にとっての価値を大きく左右します。したがって、利害関係者が伐採地にどのような印象を持つのかについて、伐採者がしっかりと認識していることが期待されますが、これまで特に伐採地の「見た目」の印象のズレについての研究はほとんど行なわれてきませんでした。 そこで私たちは、北海道のトドマツ人工林を対象地として、さまざまなタイプの伐採地を写真撮影し、専門家ではない人々(非専門家群)と森林・林業を専門とする研究者ら(専門家群)を対象にして、伐採地の写真の「見た目の印象」について調査しました。 その結果、非専門家は皆伐地と広葉樹老齢木が残された伐採地をポジティブに、トドマツを群状に伐り残した伐採地をネガティブにとらえる傾向があること等が明らかになりました。また、林業を行うための伐採への評価は両群で大きく異なっており、その解消には、伐採の必要性や生態系保全への配慮等についての情報提供が有効なことが分かりました。 本研究は、森林の持つ公益的機能(景観、生物多様性)と林業の折り合いをどうつけるのかといった課題を、非専門家の視点を中心に解析した点に新規性があり、今後、地域住民や旅行者等の目線や生態系に配慮した伐採計画を考える上で役に立ちます。 (本研究は2020年8月に日本森林学会誌で公表されました。)
写真:調査に用いた7つの林分状況:主伐を「皆伐」と択伐の二種類として整理し、さらに択伐のバリエーションを、四角く群状に伐り残した「群状保持」、広葉樹の老齢木を残した「老齢木保持」、さらに広葉樹の残す量によって「少量保持」、「中量保持」、「大量保持」に「伐採前」を加えた7つの林分状況を実際に設定し、それぞれ代表的な状態を撮影および選択しました(森林学会の許可を得て記載論文の図を一部転載しました)。 |
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