ホーム > 研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2021年紹介分 > 葉の有無によって幹を流れ下る雨水の量は変化する

ここから本文です。

葉の有無によって幹を流れ下る雨水の量は変化する

2021年9月16日掲載

論文名

Canopy structure metrics governing stemflow funnelling differ between leafed and leafless states: Insights from a large-scale rainfall simulator(樹幹流の集中度に影響を与える樹冠構造は着葉・非着葉状態で異なる:大型人工降雨実験装置を用いた研究から得られた知見)

著者(所属)

飯田 真一(森林防災研究領域)、Kathryn I. Wheeler(ボストン大学)、南光 一樹(森林防災研究領域)、篠原 慶規(宮崎大学)、Xinchao Sun(天津大学)、酒井 直樹(防災科学技術研究所)、Delphis F. Levia(デラウェア大学)

掲載誌

Hydrological Processes、WILEY、2021年8月 DOI:10.1002/hyp.14294(外部サイトへリンク)

内容紹介

森林の中で観察される雨は、葉や枝にぶつかったり通り抜けたりして地面に到達するもの(樹冠通過雨)と、幹を流れ下るもの(樹幹流)に大別されます(図)。葉や枝の量、樹種など様々な樹木の特徴によって樹幹流は影響を受けますが、どれが重要なのかを特定することは困難でした。なぜならば、実際の雨は強弱があるために、それに伴って樹幹流の量も変わり、樹木の特徴による影響を抽出することが難しいからです。

そこで、大型人工降雨装置の中にスギ、ヒノキ、ケヤキを移植して、雨の強さを一定に保ち、樹幹流に影響を及ぼす樹木の特徴を検討しました(写真)。具体的には、胸の高さでの幹の直径、葉・枝・幹の乾燥重量、枝の角度など14項目を計測し、これらの組み合わせを変化させて55万9042通りの一般化線形モデルを求めました。そして高い相関を示した38通りの式に含まれる割合の高かった項目を調べました(表)。葉がある場合では葉・枝・幹の乾燥重量の合計値、胸の高さでの幹の直径、葉が無い場合では枝の乾燥重量、樹種による枝の広がりの効果の差の含まれる割合が40%以上であり、樹幹流への影響が強いことが分かりました。

この結果は、葉の有無によって樹幹流の発生に影響を与える項目が変化することを科学的に示した世界でも数少ない成果の一つです。樹幹流に影響を与える項目は年間を通して一定ではないことを認識して、樹幹流に関する検討を行う必要があります。

(本研究は、2021年6月、Hydrological Processesにおいてオンライン公開されました。)

 

図:森林内で観察される雨水の模式図

図:森林内で観察される雨水の模式図。
葉や枝にぶつかったり通り抜けたりするものは樹冠通過雨、幹を流れ下るものは樹幹流と呼ばれます。

 

表:樹幹流と樹木の特徴の関係を55万9042通り解析した結果

表:樹幹流と樹木の特徴の関係を55万9042通り解析した結果。
樹幹流との相関が高い一般化線形モデルに出現する樹木の特徴をカウントした。データはIida et al. (2021)に基づく。

 

写真:大型人工降雨実験装置を用いた実験風景
写真:大型人工降雨実験装置を用いた実験風景。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 玉井 幸治
【研究担当者】
森林総合研究所 森林防災研究領域 飯田 真一
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
相談窓口(Q&A)E-mail:QandA@ffpri.affrc.go.jp
電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

お問い合わせ

所属課室:企画部広報普及科

〒305-8687 茨城県つくば市松の里1

電話番号:029-829-8377

FAX番号:029-873-0844