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掲載日:2022年7月25日
海岸林の成長は、砂の堆積により海岸線が前進した場所で良くなり、侵食により後退した場所では鈍くなることが北海道石狩海岸での調査で分かりました。海岸林の成長には、沿岸域全体での適切な砂供給・移動の管理、砂丘植生保全による海岸侵食の抑制が不可欠であることを示しています。
石狩海岸では海浜の内陸側に広がる砂丘にカシワを主体とした天然生海岸林が生育しています。主に海岸の東側では海岸線が前進し、西側では海岸線が後退してきました。(図1)。
樹幹解析*)によると、2000年代以降、西側は東側と比べ、海岸林の成長量が低下していました。また、ドローンや航空レーザの測量データによると、東側では砂浜の拡大に加え、砂浜から飛んだ砂の堆積により砂丘も拡大し、海岸林は樹高が年間10cm以上成長していました。一方、西側では海浜と砂丘が侵食され、海岸林の成長は広範囲にわたって年間10cm未満に低下していました。(図2)
さらに、侵食により海浜と砂丘の面積と標高が大きく減少した場所ほど樹高成長量が低下していました。冬季の林冠への付着塩分量が多かったことから、標高の低下で飛来塩分量の増加によるストレスが高まったことによるものと考えられ、標高の変化を把握することも海岸林への影響評価に重要であることがわかりました。
*) 樹幹解析:樹木を伐倒し、一定の高さごとに年輪を読むことで、樹木の成長の経年変化を知る手法。
(本研究は、2022年4月にEcological Engineering 180においてオンライン公開されました。)
図1:調査地の地図(背景:2019年10月10日に撮影されたSentinel-2Bのtrue color衛星画像)
図2:海岸林の樹高成長速度と林外の地形変化量。標高9mの砂丘が最近13年間で幅約20mにわたって侵食された場所の背後にある海岸林では、林冠が枯れ下がり、ほとんど成長できなくなっていました。侵食は、過去の車両走行などが原因で砂丘上の草本や低木植生が失われた場所で特に進んでいました(西側の下図)。(記載論文の図を一部改変して使用)
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