ダイバーシティ推進室 > 知る > 外部機関でのシンポジウム・セミナー > 「LGBT等に関する筑波大学の基本理念と対応ガイドラインの策定について」参加報告
更新日:2017年9月28日
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基調講演:虎井まさ衛 氏(立教大学兼任講師・東京学芸大学非常勤講師)
「大学内の多様な性~トランスジェンダーを中心に~」
女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)それぞれの頭文字からなる、セクシャル・マイノリティを表す言葉がLGBTです。今回、基調講演を頂いた、虎井まさ衛先生は、2歳の時に「今は女だけど、大きくなったら男になるんだ」と思っていたそうです。しかし、10歳の時に受けた保健の授業で男になれないという事実を知りました。その日からお金を貯め、大学終了後4日目に渡米し性適合手術を受けたそうです。セクシャル・マイノリティの当事者の一人である虎井先生は、
「LGBTという言葉は“限定的”で、当てはまらない人たちが多い。」
とおっしゃっていました。大変お恥ずかしい限りですが、今回初めて知りました。それでは、どのように“限定的”なのでしょうか?例えば、LGBTのほかにも、セクシャル・マイノリティには他者に対し性的欲求を全く抱かない人、性的欲求はもちろん恋愛感情もない人、全てのジェンダーが恋愛・性愛対象となる人などがおり、多様です。そのため、LGBTの4文字の後にTQQIAAP‥…と、続くそうです。お気づきのように、LGBTだけでは、すべてのセクシャル・マイノリティを表現できず、限定的になってしまいます。そこで、すべてのセクシャル・マイノリティを表現するために、性指向(Sexual Orientation)を表すSO、性自認(Gender Identity)を表すGIを合わせて、SOGIという呼称を使用する動きが出てきました。
さらに
「LGBTとひとくくりにされることが多いが、LGBとTは全く別のこと。」
ともおっしゃっていました。大変お恥ずかしい限りですが、こちらに関しても無知でした。LGBは同性愛等の性的指向がありますが(SOにあたる)、自身の心の性と体の性は一致しています。T(トランスジェンダー)は言葉の通り心の性と体の性が一致しておらず(GIにあたる)、そのため不安に押しつぶされそうな日常を送っています。学生生活でも就職活動などでも大きな困難を抱えることが多いということです。例えば、男子を「くん」で呼び、女子を「さん」で呼ぶことは、Tの人たちには大きな心の負担になるそうです(そういえば、私の子供が通う小学校の担任の先生は、生徒のことを皆「さん」で呼んでいることに気が付きました)。書類の上で心の性と違う性を選択しなければならないときの精神的な苦痛など、日常的に様々な困難があります。また、「トランスジェンダーは同性愛の成れの果てだ」と軽くいう人がいるそうですが、このような発言に当事者たちは深く傷つくとのことです。当事者には言葉を慎重に選んで接してほしい、そばで支えてくれる相談相手になってほしい、とのお話がありました。冷静に状況を判断し、適切にアドバイスをするためには、当事者から学ぶ姿勢が必要だとのことです。虎井先生からは、最後に「LGBTって何だろう?」(合同出版)という本の紹介がありました。
平均すると13~14人に1人セクシャル・マイノリティの方がいるそうですが、森林総研にはこれらの方々を支援するシステムがまだありません。当事者たちの苦しみに寄り添い、伴走するような気持で接することができるよう、心配りをしていきたいですね。
野生動物研究領域 鳥獣生態研究室・ダイバーシティ推進室(併任)永田純子:記
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