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更新日:2021年3月10日

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農研機構ダイバーシティ推進セミナー参加報告

  • 日時:2018年11月12日(月曜日)
  • 場所:農研機構 第一研究本館 大会議室 
  • 主催 :農研機構 本部 ダイバーシティ推進室 
  • 参加者:田中 浩 理事、髙山 範理、菅原 久美子 

参加報告:人材を生かす組織マネージメント ⁻ダイバ-シティ推進の必要性とその効果及び推進のポイント-

181112農研機構ダイバーシティ推進セミナー講師:日経BP社/日経BP総研フェロー 麓 幸子(ふもと さちこ)氏

農研機構主催のダイバーシティ推進セミナーに参加してきましたので報告させていただきます。森林機構からの参加者は、田中浩理事、筆者(高山)、ダイバーシティ推進室の菅原久美子さんの3名でした。森林総研以外では、つくば市から1名の参加があったようですが、ほとんどは農研機構の役職員の方々の参加のようでした。(一番前の来賓席に座ることになったため)写真は撮れませんでしたが、会場となった農研機構第一研究本館 大会議室に準備された座席はほぼ埋まっており、関心の高さを伺い知ることができました。

今回のセミナーのポイントは、以下の5点です。

  1. なぜ、「ダイバーシティ推進」が必要なのか
  2. ダイバーシティ推進の効果
  3. 「ダイバーシティ推進」のポイント
  4. 先進企業が実践していること
  5. 人材が活躍する組織3つのポイント

1.なぜ、「ダイバーシティ推進」が必要なのか

 この話で記憶に残っているのは、組織は「働きやすさ」だけを高めていってもダメという点でした。ある程度の「働きやすさ」は必要なのですが、そればかりになると、「ぶら下がり職員」を生みだす原因にもなりかねないとのこと。「働きやすさ」に加えて「働きがい」を得られる組織を目指していくことが必要ということのようです。なるほど。

2. ダイバーシティ推進の効果

つぎに、ダイバーシティ推進の効果について主に語られました。組織内におけるダイバーシティ推進のメリットとして、働く人の多様性が増すことによって様々なニーズに対応した商品が開発できるといったメリットがあることなどが指摘されるのですが、これは「プロダクト・イノベーション」というそうです。でもこれは結構有名ですね。実は私も知っていました。一方、もうひとつのイノベーションとして、気が付かなかった課題が可視化され、プロセスが改良される「プロセス・イノベーション」があるそうです。たとえば、工場のラインに女性が入ることによって、それまでの工具の置き棚の位置を50cm以上低くしたところ、女性だけでなく男性の作業効率も向上したそうです。このように、異なる視点が集まることによって、これまで気が付かなかった問題が発見され、改善につながるそうなのですが、これなどは私たちの職場でも何かと応用できそうですね。

3.「ダイバーシティ推進」のポイント

 個人的に一番関心があり、聞き耳を立てていたのがこのテーマでした。

女性活躍の課題

  1. 女性側の問題
  2. 男性(組織)側の問題

に分け、それぞれについての解説がありました。

女性側の問題

  • ロールモデルの不在、
  • 学習性無力感(意見が取り上げられないなどの経験が続いたため無力感が高まる等)
  • 役割葛藤

などが挙げられました。

解決策

  • 女性の将来を被う「キャリアミストを払いのけ」、キャリアの見通しを良くする。⇒自分の将来を考える力をつける!
  • 自分の後継者、将来の組織を担う人材として女性をみる!女性に期待する!(これは男性側の意識改革の話かも?)
  • ワンオペ育児では会社で活躍などムリ。女性の固定観念も取り払う!

などが紹介されました。

男性(組織)側の問題

  • 男性には女性に対する「無意識のバイアス」が存在するので、それを取り除く、すなわち「固定観念」や「統計的な差別(これまでの傾向では女性は~だから、、、といった統計的・経験的考えに基づく判断等)」を止めて、「パターナリズム(父権主義:強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること)」から脱却することが、まずは大切だとのことです。
  • 男性と同じように、「期待」して、「機会」を与え、「鍛える」といった3つのKをキーワードに、優しさの勘違い(ありがちですね!)をなくしていくこと、そのうえで仕事の楽しさや社会的意義を実感してもらうことで、女性の昇進効力感を高めることができるというお話でした。
     

4.先進企業が実践していること 

国内外のダイバーシティ先進企業が行っている取り組みについての事例的紹介でした。中でも驚きだったのが、「あの」日立製作所の事例です。一度総合電機メーカーとして大赤字を出し、危機に見舞われた日立ですが、現在では、社会イノベーション事業に大きく舵を取るとともに、多様な人材が活躍できるダイバーシティ推進と働き方改革を進めているということでした。また、実際に業績に反映されるなどその成果も上がっているそうです。ここのところの世の中のダイバーシティ推進の流れには凄いものがありますね。

5.人材が活躍する組織3つのポイント

麓先生が最後「人材が活躍する組織3つのポイント」をまとめて下さいました。以下の3つが揃っている組織は男女に関わらず、役職員が生き生きとしており生産性も高いとのことです。特に気になったのは、(1)。(1)は日本の企業の多くで形骸化していることが多く、トップから新入社員まで共有されていることが大切とのこと。この辺り、意外に盲点かもしれません。

(1)ミッションを明確にすること

(2) 一人ひとりを尊重すること

(3) ワークライフバランスを整えること

余談ですが、麓先生の弟さんが農研機構で働いていらっしゃるとのことでした。また、過去に林野庁の有識者委員を担当されていたそうで、なにかと農林関係に縁の深い方とお見受けしました。折角ですのでまたの機会を設けて、じっくりとお話を伺えればと考えています。

ダイバーシティ推進室 髙山 範理(たかやま のりまさ):記 

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