ダイバーシティ推進室 > 知る > ダイバーシティ推進セミナー > 第18回エンカレッジ推進セミナー
更新日:2021年3月10日
ここから本文です。
≪ポスター(PDF:709KB)≫ |
2015年現在、日本国内の高齢化は、想定を上回る速度で進行しており、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、要介護者数は755万人、認知症者数は700万人に達すると推計される。世帯主が65歳以上の高齢者世帯数のうち、特に夫婦のみの世帯や単独世帯といった、老人のみで構成される世帯数の増加が注視されている。予測される超高齢化社会の到来を待たず、都市部ではすでにその課題として、孤独死、消費者被害、虐待などの件数の増加が目立っている。
一人暮らし高齢者は、積極的に活動する自立タイプ、交流の少ない孤独タイプ、問題を抱えた断絶孤立タイプに分類できる。しかし、タイプの違いに関わらず、一人暮らしが要因となる3つの危険因子、すなわち、健康状態の変化に気づかない、詐欺や犯罪の被害に合う、突発的な緊急事態に対応しきれないといった問題を抱えている。
高齢者同士による老々介護には、お互いに共通性が高くわかり合えるというメリットがある反面、閉鎖的になりやすく、家庭内事故の発生、介護者側にも高齢者リスクがある、犯罪に巻き込まれやすいなどの危険因子がある。
家族が離れて高齢者を介護する場合、時間距離30分以内の近隣・近距離介護とそれ以外の遠距離介護に分けられる。近隣・近距離介護の場合には、ほどよい自立意識、生活のメリハリ、迅速な対応、精神的な安心感など長所が多い一方で、介護負担が偏る、キーパーソンがあいまいになる、日常的見守りには不十分という短所もある。遠距離介護は、団塊の世代に多く見られる現代的な介護スタイルであり今後も増加が見込まれている。遠距離介護には、遠距離ならではの経済的・時間的負担、精神的・体力的負担がある。遠距離介護であっても、市町村サービス、社会福祉協議会、介護保険サービスなど、高齢者を中心とした地域サービスをうまく利用するネットワーク作りが重要である。
厚生労働省は、介護支援の施策のうち特に認知症対策として新オレンジプラン7つの柱を策定し、認知症の人の介護者の負担軽減や、認知症への理解を深める普及啓発活動等を推進している。重要なことは、認知症の人への対応でも、他の介護支援と同様に地域社会でのつながりが基盤となることを理解することである。
実際に介護保険サービスを使う場合、ケアマネージャーとの連携が必須であるが、個々のケアマネージャーの経験・資格の違いや、ケアマネージャーを抱える事業者の形態の違い等により得意不得意がある。ケアマネージャーを選定する際には、居宅介護支援事業所に相談する、ケアマネージャーの基礎資格や経歴を知る、ケアマネージャーと地域包括支援センターとの関係性、職能団体や地域団体との交流の有無など、ポイントを押さえて選択の参考にしたい。ケアマネージャーは担当の交代が可能な場合もある。
森林総研ではこれまでにも介護のセミナーが度々開催されているが、各回とも独自の視点での解説が興味深い。今回のセミナーでは、都市部での超高齢化社会の問題として、孤独死、虐待、犯罪などのリスクが紹介され、非常に危機感を感じながら講演を聞くこととなった。離れてくらす高齢者の特徴と危険性として、健康状態の変化に気づかない、犯罪などのリスク、緊急事態への脆弱性などが指摘され、問題が生じる以前から備えていく必要性を強く感じた。離れて暮らす高齢者世帯の特徴と危険因子、近隣・近距離と遠距離のそれぞれの介護の長所短所、介護サービス利用の要となるケアマネージャーの現状が紹介され、各課題への対策が解説された。講演を参考にして、各人が自分の関わる介護状況の特徴を把握することで、上手に立ち回る助けになればと思う。講演後、在宅介護の限界をどう見極めるか、家族会議を開くきっかけはどうするか、ケアマネージャーの見極め以外に自分でできることはないかなど、現実問題への対応の質疑が多数あり、多くの職員にとって介護が人ごとではない現状を再認識した。
きのこ・微生物研究領域 きのこ研究室 男女共同参画室(併任) 高野 麻理子: 記
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。
お問い合わせ
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.