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更新日:2020年3月30日

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令和元年度第31回エンカレッジ推進セミナー・DSO講演会開催報告

-産総研のダイバーシティ推進について-を開催しました

  • 日時:令和2年1月31日 金曜日 14時~15時
  • 場所:森林総合研究所本館2階 大会議室(録画あり)
  • 講師:井出 ゆかり(いで ゆかり)氏
    産業技術総合研究所総務本部ダイバーシティ推進室キャリア主幹

当日の資料(内部情報)
«ポスター(PDF:1,415KB)

講演内容

令和2年1月31日(金曜日)にDSOセミナー/森林総研第31回エンカレッジ推進セミナーとして、産業技術総合研究所(産総研)の井出ゆかり氏を講師にお迎えして、「産総研のダイバーシティ推進について」と題してご講演いただきました。研究所およびDSO機関から48名が参加しました(今回はTV会議システムが使用できなかったため、支所等・育種センター・育種場の参加者はありません)。

産総研の先進的なダイバーシティの取り組みは、職員数や予算規模が大きいからできますが、森林機構では難しいのでは?と思ってしまいがちです。しかし実際には、(1)女性研究者の積極的な採用のためには、大学生に産総研の取り組みを説明する会を定期的に開催したり、(2)イノベーション創出に不可欠な人材のグローバル化のためには、所内手続きの英語化や英語によるセミナーの定期的な開催、(3)長時間労働の削減や会議時間の見直しのためには、プレミアム・フライデーに早期退庁を促す放送をかけたり、会議室に「会議は9時から17時の範囲に」と張り紙をする啓蒙活動など、定期的に継続的に活動を実施する努力やお金をかけなくてもできる工夫があり、ダイバーシティ推進室から積極的に働きかける姿勢は、今後の森林機構のダイバーシティを推進する上で見習うべきところではないかと感じました。

所内からは再雇用の人の活躍をダイバーシティで考えているのか、介護に対する在宅勤務はどのようにしているのか、職員同士が夫婦の場合の異動をどのようにしているのかについて質問がありました。これに対し、産総研では、退職者に対してセカンドキャリア・早期退職へのアンケートを取っていることと、次のステップ(民間企業含む)へ進めるためのサポートを実施していること、介護時の在宅勤務については今後の取り組みであること、職員の異動については異動希望調査を実施し、本人の納得の上で実施していることが紹介されました。また、所内からは森林分野を志す人自体が少ないため、森林総研の取り組みを紹介するターゲットは高校生であり、大学を選ぶときに森林の分野を目指してもらう必要があるのではないかという意見がありました。以下に産総研のダイバーシティ推進に関する個々の取り組みについて簡単に紹介します。

産総研のダイバーシティ推進についての取り組み(講演内容より)

女性研究者の積極的採用および女性職員の活用

女性の採用比率および管理職比率を上げる必要があるが、産総研へ研究者として就職する工学系の大学院生の女性比率は14~15%であり、何もしなければ目標を達成できない。そこで、2015年産総研を知ってもらう活動として女子学生と話し合う機会を設け、学生から話を聞いたところ、女子学生の8割が就職先は民間希望と回答した。その理由は、民間企業は情報がたくさんあり、やることが明確で働く場としてとらえやすい上、任期付きでないからということであった。このことから研究所といえども積極的に学生に知ってもらう活動が不足していたのではないかと実感された。そこで、より大きな規模で女子学生と話し合う場を設け、女性研究者がどのようにスキルアップし、研究活動に取り組んでいるかということを知ってもらう活動をするようになった。この活動を数年続けたところ、研究職をめざす女性の応募者数が増え、その中にはイベントで産総研を知ったという人もいた。

外国人研究者の採用・活動支援

産総研の外国人研究職員は2015年に80名であったが現在では150名を超えた。外国人研究者は研究活動においてではなく、事務や行政手続きをする場面でストレスを感じている。当初よりVISA取得や初めて滞在する人への支援は行っていたが、それだけでは不十分ということで、所内の手続きに関するイントラネットを英語化して、日本人と同じ情報が得られるようにすることを進めている。外国人研究者から要望が強かったテーマをAIC(AISTインターナショナルセンター)セミナーとして、各業務担当部署の担当者から英語で説明を行う取り組みを実施している。

ワーク・ライフバランスの実現

裁量労働制、フレックスタイム制、休暇制度自体は他の独法と変わらないが、ランチ会という形で直接的に顔が見える形で色々な個別の話もできるような場を月1回程度設けている。この場で、育児に関する制度の紹介、介護に関する休暇の使い方の提案などの情報発信を行っている。
好評な制度は育児特別休暇(子が3歳になるまで10日間)や一時預かり保育施設である。常設の保育施設がないセンターでは、民間の事業者と契約して一時預かり施設を使えるか、ベビーシッターを利用できるようにしている。ベビーシッターは出張時も利用でき、一時預かり施設と同額で利用できる。つくばセンターの一時預かり保育施設は20時まで利用可である。東京へ外勤の時、普段預けている保育所のお迎え時間に間に合わないが、20時までには戻ってこられるような場合に利用され好評である。

H28年度からは在宅勤務が可能となった。これは、女性が活躍するときの障壁として時間的制約が非常に大きいことがアンケートの結果として分かり、それを解決する手掛かりとなると考えられたからである。裁量労働制も導入されているが、労災や勤務管理をどうするかなど検討した上で、勤務として自宅で働くことを認めることが重要である。現在、月5日以内で在宅勤務ができる。週の前半研究室で実験してデータを取り、データをまとめることは在宅でも効率的にできるということから、月5日で好評である。現在、長時間労働の削減と会議時間の見直しに対しては、休暇の取得を促す取り組みやプレミアム・フライデーを実施している。プレミアム・フライデーに「月末の金曜日をいつもより少し豊かに」過ごす取り組みとして、お昼に早期退庁を促している。会議時間の見直しとして、夕方お迎えの時間を意識して落ち着かないという声があり、「会議は9時から17時の範囲に」というポスターを会議室に貼って意識啓発をしている。

キャリア形成に関する取り組み

キャリア形成については、専門家を講師として呼んでセミナーを開催したり、研修を実施している。特別なことをしているわけではないが、毎年実施することで少しずつ意識の啓発を狙っている。個々の悩みには外部の専門家によるキャリア・カウンセリングを定期的に実施している。キャリア・カウンセリングには、任期付きの方が審査のタイミングで今後のスキルアップの相談があったり、シニア層が今後どうしたらよいかという相談があるようだ。

ダイバーシティ推進のための取り組み

障害のある人達の積極的な雇用促進と働きやすい職場環境の整備をしている。ダイバーシティ推進に関する取り組みについては、委員会で議論するだけでなく、必ず所内外に公表してPDCAサイクルで見直しを行う。DSOの活動で年に2回、20機関の意見を聞けることは他の機関の知恵を得て共有できる上で意義があると考えている。

質疑応答より

質問
産総研さんと同じように、森林機構も全国に支所があって職員の異動の問題が悩ましい。特に女性の異動に対する取扱いについて何かよいお考えはないか。

回答
(男女に関わらず)産総研の場合だと拠点ごとに研究テーマが掲げられている。したがって、異動するということは研究として各自が扱うテーマに変更があることを意味する。ただ、拠点毎の研究テーマが決まっていたとしても、そのテーマに関わる方法は様々あるので、一見異なる拠点テーマやプロジェクトの内容に合わせて、元々の専門を融合させていくような方法もあって、それが成果をみせているケースもある。一方で、職員の希望についても把握しており、希望と業務上のニーズのバランスを考えながら異動措置が行われている。そこを丁寧に調整するのも大事だろうと思う。

質問
再雇用の方の問題について教えてください。森林総研では次期中長期計画中に、研究者500人に対して再雇用の職員の数が100人になることが予想されています。そういう人たちに対するダイバーシティ的な観点から活躍の場や方法についてお考えがあれば教えて欲しい。

回答
産総研でも同じような問題を抱えている。人事部の方では昨年くらいから、早期退職やセカンドキャリアについての相談を受け付けるようになっている。また、産総研ではそれぞれの地域ごとに(中小・中堅)企業と連携を広げている。個人的にはそういった企業においても、交流の中で活躍の場が広がればと思っています。

質問
森林総研の中でも職員同士や他所で共働きのカップルや夫婦が沢山います。そういった方々のどちらかが異動になったときに、今後の対応としてはどのようにしていけばよいと思いますか。

回答
産総研では転居を伴う異動希望について年に一度、職員の希望調査を行っている。そこでまず、各職員の状況が把握できるため、人事考慮に役に立っている。ただ、それなりの役職に上がっていった場合には必要なことがあるので、その場合はさらに上司とともに納得できるまで相談して異動に至ることになる。現状では、それを続けていくしかないのではないだろうかと思います。

質問
産総研さんで取り組んでいる在宅勤務について教えて欲しい。産総研さんでは制度の出発は育児のサポートということだったが、森林機構では育児とともに介護にどのように対応していけばよいかが問題としてある。産総研さんの方ではいかがでしょうか。

回答
介護については、在宅勤務制度では(在宅勤務を行う理由として)担保できていない。理由としては介護の場合、かならずしも「自宅」がその現場にならないケースがままあるように思われるからです。一方、育児の場合は「お子さん」がいるところを自宅としてみなすことができます。施設やご両親のご自宅ということになれば、かならずしも本来的な意味での自宅にはならないからです。どこまで広げるかがなかなか難しい。そういった場所で勤務できる体制を整えられるかというのも検討課題である。ただ、世の中的にテレワーク、在宅勤務が支持を受ける時代背景もあるので、今後制度の見直しができればと思っています。

森林防災研究領域 (ダイバーシティ推進室併任)久保田 多余子:記

会場の様子

井出ゆかり先生 柳田理事 澤田理事長
井出ゆかり先生 柳田理事挨拶 沢田理事長のお話

DSOセミナーの様子3
資料 DSOセミナーの様子
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所属課室:企画部研究企画科ダイバーシティ推進室

〒305-8687 茨城県つくば市松の里1

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