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更新日:2023年12月19日

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このページに登場する昆虫

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ハンノキハムシ 

Agelastica coerulea BALY

  • 分類 甲虫目 ハムシ科 CHRYSOMELIDAE
  • 体長 老熟幼虫:11~12mm 成虫:6~9mm
  • 加害樹種 ハンノキ類,カンバ類,サクラ類
  • 分布 日本,朝鮮,シベリア東部,中国東北部
  • 被害 幼虫,成虫ともに葉を食害する。成虫の食害では葉の主脈を残すのみとなるが,幼虫は葉肉のみを食害するので被害葉は網目状となる。大発生時に餌不足となり樹幹や枝の薄皮部を食害することもある。
  • 生活史 年1世代。成虫で越冬。5月中旬,葉の開き始めるころ出現して,葉裏に産卵する。6月上旬にふ化した幼虫は集合して頭をならべて食害,成長するにしたがい順次他の葉に移動して加害をつづける。7月上旬成熟した幼虫は地上に降り,土中で小さな部屋をつくり,その中で蛹化する。蛹期は約2週間で,新成虫は7月下旬~8月上旬に現れて,盛んに食害する。9月には落葉,地被物または土中に浅くもぐって越冬する。
  • ハンノキ上では似た成虫にルリハムシがある。
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ハンノキハムシの終齢幼虫 ハンノキハムシの卵
   
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交尾中のハンノキハムシの成虫  

ドロノキハムシ 

Chrysamela populi LINNAEUS

  • 分類 甲虫目 ハムシ科 CHRYSOMELIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約15mm 成虫:10~12mm
  • 加害樹種 ポプラ類,ドロノキ,ヤナギ類
  • 分布 日本,朝鮮,シベリア,中国,インド北部,中央アジア,ヨーロッパ
  • 被害 幼虫,成虫ともに葉を食害する。若齢幼虫は葉肉のみを食害するが,成 長するとともに葉脈まで食害する。
  • 生活史 年2世代。成虫で越冬。5月ポプラ類の開葉とともに出現して新葉を食害しながら,葉裏に産卵する。卵期は1週間くらいである。ふ化した幼虫は,はじめ集団で新葉を食害するが,成長するにしたがって分散し,樹上の葉裏などに尾端を固定して下垂し,蛹化する。幼虫期間は20日程度,蛹期間は3~5日である。1回目の成虫の羽化は7月上旬である。以後同様の経過を経て2回目の成虫は8月中旬頃羽化する。成虫の生存期間が長いので,成虫,蛹,幼虫などが同時にみられる。10月中旬,成虫は落葉下,土中に浅くもぐるなどして越冬に入る。
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ドロノキハムシの卵 ドロノキハムシの若齢幼虫
   
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ドロノキハムシの成虫  

 

 


スジコガネ 

Mimela testaceipes (MOTSCHULSKY)

オオスジコガネ

Mimela costata (HOPE)

この2種は同属で形も似ており,同様の経過,加害を行うので同一の説明とし た。

  • 分類 甲虫目 コガネムシ科 SCARABAEIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約30mm 成虫:17~20mm(スジコガネでは15mmという個体も あり多少小さい)
  • 加害樹種 トドマツ,エゾマツ,アカエゾマツ,カラマツ,マツ類,スギ
  • 分布 日本,朝鮮,中国(オオスジでは東シベリア)
  • 被害 成虫が多くの針葉樹の葉を食害する。樹冠の上の方に集まって加害する習性があり,梢頭部だけが丸坊主にされて,トドマツやマツ類ではその部分だけ枯死する場合がある。林分として見ると周辺部の日射のあたらない側での被害が目立つ。林がうっ閉するまでは,3年ごとに成虫の出現がみられる。幼虫は造林木の根を食害する。
  • 生活史 3年に1世代。卵はうっぺいのない開放地の土中に1粒ずつ産まれる。幼虫は腐植質や植物の根を食しながら3年間土中で生活する。羽化の年の6月土中で蛹になり,羽化後はじめて地上にでる。成虫の発生最盛期は7月下旬から8月上旬で,針葉を盛んに食害するが,食害期間は比較的短期間である。成虫は日中も食餌木に群生して食害するが,夕方から夜間にかけてよく活動し,燈火にもよく集まる。
  • 両種の区別点は上翅の光沢で,光沢のある方がオオスジコガネである。
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エゾマツに群がるスジコガネ成虫 スジコガネ成虫
   
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スジコガネとオオスジコガネ成虫
の上翅(左:オオスジ,右:スジ)
スジコガネ幼虫の尾端剛毛列

ヒメコガネ 

Anomala rufocuprea MOTSCHULSKY

英名 Soybean beetle

  • 分類 甲虫目 コガネムシ科 SCARABAEIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約25mm 成虫:約14mm
  • 加害樹種 トドマツ,エゾマツ,カラマツ,サクラ類,ポプラ類,ヤナギ類その他(幼虫食害):サクラ類,クリ,ブドウ等(成虫食害)
  • 分布 日本,朝鮮,サハリン
  • 被害 幼虫が根部を食害するので,苗畑での被害が大きい。成虫は広葉樹の葉を食害する。
  • 生活史 北海道では2~3年に1世代(本州関東以南では年1世代)。羽化当年の春,老熟した幼虫は土中で蛹化する。蛹期間は約2週間。成虫は7月中旬~9月上旬に出現する。最盛期は8月上・中旬である。羽化後約20日で産卵する。卵は地中に1粒ずつ産まれる。ふ化した幼虫は,その年少し根等を食害した後,より深く潜り越冬する。3年に1世代の場合,翌年,翌々年は春に浅いところに上って食害し,冬になると深いところで越冬するということを繰りかえして成長し3年目の春成熟するという経過をたどる。
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ヒメコガネの成虫 ヒメコガネの成熟幼虫 ヒメコガネ幼虫
の尾端剛毛列
     
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幼虫のぬけがらに入った
ヒメコガネの蛹
   

ナガチャコガネ 

Heptophylla picea MOTSCHULSKY

  • 分類 甲虫目 コガネムシ科 SCARABAEIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約20mm 成虫:11~12mm
  • 加害樹種 トドマツ,エゾマツ,アカエゾマツ,カラマツ,マツ類,イチイ,スギ,その他
  • 分布 日本,朝鮮,千島
  • 被害 幼虫が苗畑で幼苗の根を食害する。普通は細根を切断あるいは太い根を剥皮して食べるのが多いが,播種床では椎苗を地中にひきこんで主幹を食べることもある。
  • 生活史 年1世代。幼虫で越冬。春はあまり食害せずに,幼虫の脱皮殻の中で蛹化する。成虫は7月上旬から下旬に出現する。羽化後間もなく交尾して,地中に潜入し産卵する。卵期問は約3週間である。ふ化した幼虫は8月~10月中旬まで根部を食害して成長しほぼ成熟して,11月上旬に,より地中深く潜入して越冬する。
  • 苗畑害虫として問題となる根切虫は,主にナガチャコガネ,ヒメコガネ,スジコガネ,ツヤコガネ,サクラコガネの幼虫である。
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ナガチャコガネの成虫 ナガチャコガネの幼虫
   
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幼虫に食害された幼苗 幼虫の尾端剛毛列

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