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更新日:2023年12月19日

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このページに登場する昆虫

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トドマツノタマバエ 

Paradiplosis manii (INOUYE)

英名 Fir needle midge

  • 分類 双翅目タマバエ科CECIDOMYIIDAE
  • 体長 成虫:雄1.7~2.0mm雌:2.7~3.0mm
  • 加害樹種 トドマツ,その他のモミ類
  • 分布 北海道
  • 被害 幼虫が針葉内に入り虫えいをつくる。この寄生をうけると針葉は“く”の字型にまがる。幼虫が虫えいを脱出すると,針葉は黄変して落葉する。激害の場合新葉がちぢれたようにみえ,新梢が枯死することもある。
  • 生活史 年1世代。幼虫で越冬。4月下旬に蛹化,5月中,下旬に羽化し,土中から成虫が現われる。交尾の後,雌成虫は開じょの始まった新梢の針葉と針葉の間に産卵する。ふ化した幼虫は針葉の組織内に潜入寄生する。寄生した部分は少しふくれて虫えいとなる。夏から秋まで虫えいの中で針葉から栄養を摂取し成長する。10月中旬ごろ老熟した幼虫は虫えいからでて地上に落下し,地中1~5cmの腐植層に入って繭をつくって越冬する。
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トドマツノタマバエの被害を
うけたトドマツの葉
虫えい内のトドマツノ
タマバエ幼虫
トドマツノタマバエの
被害をうけたトドマツ

マツバノタマバエ 

Thecodiplosis japonensis UCHIDA et INOUYE

英名 Pine needle gall midge

  • 分類 双翅目タマバエ科CECIDOMYIIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約3mm成虫:雄1.7mm雌2.5mm
  • 加害樹種 アカマツ,クロマツ
  • 分布 日本,朝鮮
  • 被害 幼虫が針葉に寄生し虫えいをつくる。寄生された針葉は短かくなったり,くの字に曲ったりする。幼虫が脱出すると寄生された針葉は枯死し脱落する。生長への影響はかなりあり,虫えい形成針葉率が30%以上では特に目立つ。アカマツでは2~3年激害がつづくと枯死するものもでる。
  • 生活史 年1世代。幼虫で越冬。5月下旬に蛹化し,6月中旬~7月中旬に羽化する。成虫は交尾後は伸長を始めた1~1.5cmの針葉の間に産卵する。ふ化した幼虫は針葉の基部に移動する。定着すると基部はゆ合しふくらんで虫えいになる。定着する場所は基部(袴の中)が多いが時には針葉の途中の場合もある。虫えい内の幼虫数は通常複数(2~24頭)である。虫えい内で成熟した幼虫は11月上旬~下旬に虫えいから脱出し地上に落下して,地中で繭をつくり越冬する。
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虫えい内のマツバノタマバエ
成熟幼虫
針葉基部のマツバノタマバエ
虫えい
   
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マツバノタマバエ虫えいの形成場所の
異なる被害葉(曲がったところが虫えい)
マツバノタマバエの
被害をうけた枝

エゾマツノシントメタマバエ 

Dasineura ezomatsue UCHIDA et INOUYE

英名 Spruce shoot gall midge

  • 分類 双翅目タマバエ科CECIDOMYIIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約3.5mm成虫:雄2.9mm雌3.7mm
  • 加害樹種 エゾマツ,(アカエゾマツにも同様の虫えいが形成されるが本種であるか否か不明)
  • 分布 北海道,本州
  • 被害 幼虫が新芽に寄生し虫えいをつくる。虫えいは頂芽に多いが側芽にもできる。幼齢造林地において目立つが,大径木でも寄生しているのがみられる。
  • 生活史 年1世代。幼虫で越冬。4月中旬蛹化し,5月上旬虫えいの頂部から上半身を外に出して羽化する。成虫は交尾した後,雌成虫はふくらみ始めた新芽に産卵する。ふ化した幼虫は新芽の中心で栄養を摂取しはじめる。寄生された芽は新葉の展開がとまり,ふくらんで虫えいとなる。1虫えいには1頭の幼虫がいるのが普通である。幼虫は秋までに赤橙色になり老熟して虫えいの中で越冬する。虫えいは新芽のみで形成されるのではなく,新芽の新梢部を含めて形成される。
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エゾマツノシントメ
タマバエの虫えい
虫えい内のエゾマツノ
シントメタマバエ若齢幼虫
   
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エゾマツノシントメタマバエ
の雌成虫
エゾマツノシントメタマバエ
の雄成虫

スギタマバエ 

Contarinia inouyei MANI

英名 Cryptomeria needle gall midge

  • 分類 双翅目タマバエ科CECIDOMYIIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約1.2mm成虫:雄1.4mm雌1.8mm
  • 加害 樹種スギ
  • 分布 日本
  • 被害 幼虫が新葉に虫えいをつくる。スギ新芽の先の部分の新葉基部に虫えいをつくるため,秋にこの針葉が枯死する。また,虫えいがつくられた位置より先端部の寄生されていない針葉も枯死する場合が多い。本種による被害はほとんどない。
  • 生活史 年1世代(北日本では多少不規則)。幼虫で越冬。4月下旬に蛹化し,5月下旬~6月中旬に羽化し,地中から脱出する。成虫は展開し始めたスギ新芽の針葉間に卵塊状に数個の卵を産む。卵は4~5日でふ化し,幼虫は針葉にもぐり虫えいを形成する。9月中旬に2齢から3齢幼虫になる。10月~11月にこの虫えいからはいでて地上に落下し,地中1~2cmで繭をつくり越冬する。生活史の主流は以上のとおりであるが,7月下旬に羽化するもの,虫えいの中で越冬するものも報告されている。
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スギタマバエの被害をうけた
スギの葉
スギタマバエ虫えい
   
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スギタマバエの雌成虫 虫えい内のスギタマバエ若齢幼虫

カラマツタネバエ 

Lasiomma laricicola (KARL)

英名 Larch cone maggot

  • 分類 双翅目ハナバエ科ANTHOMYIIDAE
  • 体長 老熟幼虫:5~6mm成虫:4.5~5mm
  • 加害樹種 カラマツ,グイマツ,カナダツガ
  • 分布 日本,朝鮮,シベリア,ヨーロッパ
  • 被害 幼虫が球果を食害する。若い球果の基部から種子の内部に入り,食害しつくすと同じ種りんの他方の種子を食い,次の種りんに移っていき,らせん状に次々と種子を食害する。7月中旬頃から種りんが紫色に変色する。1匹の幼虫の種子の食害率は50~80%に達する。
  • 生活史 年1世代。蛹で越冬。4月下旬~5月上旬成虫が羽化する。成虫は羽化後すぐ産卵するのでなく,カラマツの花粉の飛散が終了する頃(札幌では5月下旬)に開始される。卵は種りんの間隙に産まれ,産卵数は1球果に1~40個である。幼虫は卵の中で1回脱皮し2齢幼虫となってふ化する。球果内で3齢幼虫となる。7月に大部分の老熟幼虫は地上に落下し蛹化するが,球果内で蛹化するものもいる。地上に落下したものは深さ2~3cmの落葉層の中で蛹化し越冬する。以上の年1世代のものの外に,2年後に羽化するものが一部ある。
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カラマツタネバエの幼虫 カラマツタネバエの蛹 カラマツタネバエの成虫

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