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コメツガクチブサガ
Ypsolopha tsugae MORIUTI
- 体長 老熟幼虫:8~9mm 成虫:開張10~12mm
- 被害 幼虫が針葉を食害する。新しい針葉の裏面のみ食害するので残った部分がちぢれて黄褐色に枯死する。このため,被害がひどい場合樹冠全体が黄変し目立つ。
- 生活史 年1世代。生活史はよくわかっていない。幼虫の加害最盛期は7月上,中旬で,7月下旬に蛹になり,8月上旬に羽化する。
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コメツガクチブサガ終齢幼虫 |
コメツガクチブサガの繭 |
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コメツガクチブサガの成虫 |
被害をうけたトドマツの枝 |
カラマツツツミノガ
Coleophora longisignella MORIUTI
英名 Larch casebearer
- 分類 鱗翅目 ツツミノガ科 COLEOPHORIDAE
- 被害 幼虫が葉を食害する。時おり,局所的に大発生をする。開葉まもない5月頃に全体が褐変することがあるが,その後,長枝葉の伸長とともに緑色は回復する。
- 生活史 年1世代。幼虫で越冬。春カラマツの開葉とともに葉内に入って食害する。まもなく,茶褐色のみのをつくり,葉から葉へ移動しては食害をつづける。この期間はほぼ2週間くらいであるが,この間の食害量が大きい。老熟した幼虫は葉上にみのを直立させて固着し,蛹化する。成虫は6月に出現する。産卵習性は不明。ふ化した幼虫は針葉内に食入し,その中で生活しているが,その後,被害葉の中空部分を短く切って筒状のみのをつくり,さらに食害をつづける。落葉期になると枝先や幹枝のつるなどにまきついた部分等に集まり,みのを固定して越冬する。
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カラマツツツミノガの“みの”
と被害をうけた輪生葉 |
カラマツツツミノガの成虫 |
被害をうけたカラマツの枝 |
マエアカスカシノメイガ
Palpita nigropunctalis (BREMER)
英名 Lilac pyralid
- 体長 老熟幼虫:21~26mm 成虫:開張約30mm
- 加害樹種 ヤチダモ,ハシドイ,ライラック,イボタノキ
- 被害 幼虫が葉を食害する。しばしば広範囲に発生することがある。幼苗が加害されると生長を阻害されると考えられる。一般の壮齢林では全葉を食害されても枯死することはない。
- 生活史 年2世代。生態の詳細はよくわかっていない。幼虫または蛹で越冬するものと思われる。成虫が出現するのは7~8月と9~10月の2回である。幼虫は糸をはいて数葉をつづり,その中で食害する。老熟した幼虫は葉をまき,その内に白色の粗い繭をつくり蛹化する。夏期の蛹期間は10~14日くらいである。
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マエアカスカシノメイガ
終齢幼虫 |
マエアカスカシノメイガ
雌成虫 |
被害をうけたヤチダモの葉 |
マツノシンマダラメイガ
Dioryctria sylvestrella (RATZEBURG)
英名 Pine tip moth
- 体長 老熟幼虫:約25mm 成虫:開張20~31mm
- 加害樹種 トドマツ,エゾマツ,ヨーロッパトウヒ,マツ類
- 被害 幼虫が,幹,新梢,球果を加害する。幹では枝の基部に食入することが多く,被害部から多量のやにが出る。新梢部では基部を食害する場合や,新梢の髄部にそって食害し,大きな孔道を作る場合があり,いずれも新芽がある程度展開してから新梢ごと枯れる。また未成熟球果の内部を食害する。
- 生活史 北海道では年1世代。幼虫で越冬。幹に寄生したものでは5月下旬,食害がおう盛となり,やにの流出が目立ち始める。6月中旬蛹化が始まり,7月上旬に羽化しはじめる。羽化期は長く,8月下旬まで観察される。卵は針葉および葉梢に多く,また冬芽や樹皮状にも産まれる。ふ化幼虫は針葉基部や新梢,樹幹の樹皮内に穿入食害し,やにの流出もみられる。加害場所で越冬する。幼虫の体色は緑色~赤褐色。
- 近似種マツマダラメイガとの区別点は第一胸節背楯下の硬皮板の2本の刺毛の位置(写真参照)。
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マツノシンマダラ
メイガ終齢幼虫 |
被害をうけた樹幹 |
被害をうけた新梢 |
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マツノシンマダラメイガ
雌成虫 |
第1胸節背楯下の
硬皮板 |
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マツツマアカシンムシ
Rhycionia duplana (Hubner)
- 被害 幼虫が新梢の髄部に穿入し食害するため新梢は枯れる。加害時期が春先早いので新針葉の伸びが少ないまま枯れる。連年被害をうけると木はほうき状になり,立ち上がりが阻害される。木が生長し樹冠が形成されるようになると被害はなくなる。未成熟の球果を加害することもある。
- 生活史 年1世代。蛹で越冬。4月の下旬から5月の上旬に成虫が羽化する。卵は針葉等にも産まれるが,新芽と旧葉部の境付近に多く産まれ,通常1個ずつである。卵期間は20~25日で,ふ化した幼虫は苞鱗の内側に潜って糸を張り,芽を外側から食害する。3齢になると新梢内にもぐりこむ。1新梢内には1頭生息しているのが普通であるが,2頭の場合もある。加害は新梢以外の枝におよぶことはない。幼虫は健全部と加害箇所の境にやにで固めた繭をつくり幼虫のままで夏眠し,秋に蛹化し越冬に入る。
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マツツマアカシンムシ終齢幼虫 |
マツツマアカシンムシ成虫 |
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被害をうけた新梢 |
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