森林総合研究所について > 国際連携 > 共同研究 > 山火事耐性に注目した熱帯季節林のタケ類4種の共存機構
更新日:2024年6月6日
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カセサート大学(Kasetsart University)
2022~2026年度 JSPS科研費
平井 敬三(研究ディレクター 気候変動研究担当)
タイの熱帯季節林では、森林の動態は「乾季の山火事」と「タケ類による樹木の更新制御」との相互作用によって駆動されることを、約30年間の長期観測を通じて我々の研究グループが明らかにしてきました。熱帯季節林ではタケ類の多様性が高いですが、その共存機構に関する仮説はこれまでありませんでした。タケ類は「山火事に対する耐性」と「一斉開花後の更新・成長」との間にトレードオフが存在します。本研究では、「地形に応じた種間で異なる山火事レジームの中でタケ類が共存する」という仮説を検証します。
タイ熱帯季節林では、地形に応じて山火事頻度が異なっているので、それに対応して分布する4種のタケ類の共存メカニズムと分布の規定要因を解明します。そのため、1)タケ類の更新初期成長と山火事耐性形質とのトレードオフ関係、2)それに関係する山火事耐性の種間差と特徴形質およびその獲得機構、の2点を明らかにします。
まず初めに対象地域に一般的なタケ4種について、種毎の繁殖のタイミングと更新機構を明らかにします。次に耐火機能に関する形質の解明と、その形質の獲得プロセスを明らかにします。また、これらを制御しうる立地環境要因として、試験地の地形に沿った土壌水分や無機成分の分布を明らかにします。最後にこれらの要素を踏まえて、高い頻度の山火事下にある熱帯季節林で、どうしてタケ4種が分布し、共存できるかを解明します。
Dokrak Marod, Tohru Nakashizuka, Tomoyuki Saitoh, Keizo Hirai, Sathid Thinkampheang, Lamthai Asanok, Wongsatorn Phumphuang, Noppakun Danrad and Sura Pattanakiat(2023)Long Term Seasonal Variability on Litterfall in Tropical Dry Forests, Western Thailand. Forests 2023, 14(10), 2107; https://doi.org/10.3390/f14102107
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