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更新日:2019年3月8日

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熱帯荒廃地の有機物蓄積プロセスを活用した土壌修復シナリオの最適化

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1.共同研究機関

ムラワルマン大学

2.研究期間

2014~2016年度 科学研究費補助金

3.責任者

藤井 一至(立地環境研究領域)

4.研究の背景

インフラの整備、資本主義の浸透を背景に、熱帯林の伐採、伝統的な焼き畑農業から常畑化への転換が世界各地で拡大しています。耕地の常畑化による土壌劣化は、さらなる森林伐採を引き起こします。土壌酸性化と有機物の減耗は、土壌侵食と並び、主要な土壌劣化要因となっています。熱帯林の土地利用変化に伴う急激な土壌劣化を緩和するためには、土壌酸性化及び有機物の変動に及ぼす栽培・休閑植物の影響を解明する必要です。

5.研究の目的

インドネシア東カリマンタン州の熱帯林を事例に、大規模な火災後30年間の土地利用変化に伴う土壌pHおよび土壌有機炭素蓄積量の変動を解析することで、土壌pHおよび炭素量の低下を最小化できる技術(栽培体系)を提案することを目的としました。

6.研究内容

インドネシア東カリマンタン州の熱帯林を事例に、大規模な火災後30年間の土地利用変化に伴う土壌pHおよび土壌有機炭素蓄積量の変動を、アーカイブ土壌を用いて解析しました。さらに、天然林、天然二次林(マカランガ林)、アカシア林、チガヤ草地、油やし農園においてリター分解試験、土壌溶液採取を行い、土壌pHおよび炭素量の低下を最小化できるシナリオを検討しました。

7.得られた研究成果

土壌炭素蓄積量の変動解析から、油やし農園で土壌炭素量は低下する一方、火災後10年まではチガヤ草地、その後は天然二次林およびアカシア林で土壌炭素量は最も大きく増加することを解明しました。30年間の土壌pHの変動解析から、pHはアカシア林で最も低下し、チガヤ草地及び油やし農園では灰や肥料の添加によってやや高く推移することを解明しました。土壌酸性化の要因は、油やし農園では硝酸化成、アカシア林では硝酸化成と植物吸収、マカランガ林および天然林では植物吸収でした。以上から、短期的にしか休閑できない場合にはチガヤ草地、長期的にはマカランガ林が最も有効な休閑植生となることを解明しました。また、近隣のアカシア、マカランガ、チガヤのリターは、それぞれN、P、Kを多く含むため、それぞれの灰で土壌養分を補完することで、土壌酸性化の緩和と化学肥料コストの削減も可能となることを発見しました。

 

マカランガ林の写真

先駆種のマカランガ林

8.研究成果の利活用

現地で簡単に入手できるアカシア(外来種)、マカランガ(先駆種)、チガヤ草原の土壌と落ち葉(草木灰)によって簡易な土壌改良が可能になる技術の提案を通して、熱帯林のさらなる伐採を抑止する技術となることが期待できます。

 

チガヤ草原の写真
森林伐採、耕作放棄地に広がるチガヤ草原

9.研究論文

Fujii K (2014) Soil acidification and adaptations of plants and microorganisms in Bornean tropical forests. Ecological Research, 29 (3), 371-381.

Fujii K, Shibata M, Kitajima K, Ichie T, Kitayama K, & Turner BL (2018). Plant–soil interactions maintain biodiversity and functions of tropical forest ecosystems. Ecological Research, 33(1), 149-160.

Hayakawa C, Fujii K, Funakawa S & Kosaki T (2018). Effects of sorption on biodegradation of low-molecular-weight organic acids in highly-weathered tropical soils. Geoderma, 324, 109-118.

Hseu Z-Y, Zehetner F, Fujii K, Watanabe T, Nakao A (2018) Geochemical fractionation of chromium and nickel in serpentine soil profiles along a temperate to tropical climate gradient, Geoderma, 327, 97-106.

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