森林総合研究所について > 公開情報 > 交付金プロジェクトの評価 > 平成14年度交付金プロジェクト研究課題評価結果 > 機能性付与のための木材炭化技術及び評価技術の開発調査
更新日:2010年5月11日
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主査氏名(所属): 西田 篤實(樹木化学研究領域長)
担当部署 : 樹木化学研究領域、構造利用研究領域、木材特性研究領域、気象環境研究領域、森林微生物研究領域、成分利用研究領域
研究期間 : 平成10~14年度
1.目的
木炭の多孔性、吸着性等の特性を活かし、土壌改良材、水質浄化材、調湿材等として木炭が燃料以外の炭素素材として使われだし、その需要量も漸増しつつある。しかしながら、それらの用途に対する木炭の機能に関しては科学的に解明されているとは言い難く、木炭の需要拡大のためにも実証例を裏付ける科学的根拠を明らかにすることが望まれている。そこで、樹種、炭化温度等の炭化条件の異なる木炭と諸機能との関連性、機能の科学的証明を行うとともに新しい用途の開発を行う。
2.研究成果の概要
ビスフェノールAを吸着した木炭類からの物質の回収率は、アセトン、エタノール等が効率がよかった。超臨界・亜臨界水処理の結果、超臨界水処理でほぼ完全に分解が行われた。
木炭は木材パーティクルとほぼ同等の量的な調湿能力を持つこと、また吸放湿速度に対応する、湿度変動ピークと吸放湿ピークの位相差が1時間近く木材に比べて小さいことを明らかにした。
木造実験家屋の床下に設置した実大床下モデルを使用して、木炭敷設前の1年間と敷設後の2年間のデータを比較した結果、木炭敷設によって、床下の湿度は相対的に低下することが実証された。
木炭・竹炭は水中に溶存している養分を吸着する一方で自身の養分を放出することが分かった。窒素、リンを含んだ水を浄化する場合、植物と木炭・竹炭を併用することで、効率よく水中の養分を除去する機能が高まることが分かった。
18年を経過した海岸砂地の撹乱されない粉炭層では、設定当初と微生物数に大差なく、大容量の炭空間は貧栄養状態を維持していた。森林土壌表層における粉炭層では、多様な種類の外生菌根菌を認めた。
3.発表業績
4.評価委員の氏名(所属)
谷田貝 光克(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
5.評価結果の概要
木炭の細孔特性、吸放湿特性、木炭・植物の組合せによる効率的水質浄化法等、全般的に応用技術の開発を考慮した基礎データの集積がなされていることは評価できる。課題遂行過程で生じたさらに追求すべき研究素材もあるので発展を期待したい。
6.評価において指摘された事項への対応
今後、課題遂行によって見出された新たな課題、ならびに経年変化を長期に観測する課題については経常研究の中で引き続き行い、新規プロジェクトとして立ち上げるよう努める。
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