森林総合研究所について > 公開情報 > 交付金プロジェクトの評価 > 平成14年度交付金プロジェクト研究課題評価結果 > 国際的基準に基づいた生物多様性及び森林の健全性評価手法の開発
更新日:2010年5月11日
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主査氏名(所属): 大河内 勇(森林昆虫研究領域チーム長)
担当部署 : 森林昆虫研究領域、北海道支所
外部参画機関 : Canadian Forest Service(カナダ森林局)、USDA(米国農務省)、CSIRO(豪州国立科学産業研究所)、CIFOR(国際林業研究センター)
研究期間 : 平成13~16年度
1.目的
持続可能な森林管理を目的としたモントリオールプロセスの基準・指標の中でも、生物多様性と森林の健全性の評価手法は、その開発が遅れている。そこで、森林の組成・構造等が生物多様性に及ぼす影響評価と、多様性の指標種とその生息域の関連性の定量的評価に基づき、生物多様性に関わる指標の測定・評価手法を開発する。また、広域の森林を対象としたセンシング技術の高度化により、森林生態系の健全性と活力の維持に関わる指標の測定・評価手法を開発する。
2.当年度の研究成果の概要
生物多様性の評価手法では、植物、昆虫類、普及菌の調査手法をほぼ確立した。また、森林全体の生物多様性を少ない労力で評価するため、施業や森林管理が多様な生物群の多様性に与える影響を検討し、効果的指標のための生物群のスクリーニングに成功した。健全性評価に関しては、非常に広範囲な「森林の健全性」という概念を、国際的な情報交換や視点の導入等により整理検討し、現時点で到達するべき目標を絞った。これらの成果を基に、国際ワークショップを行い、指標の妥当性、国際的な普遍性を検討した。
3.当年度の発表業績
4.評価委員の氏名(所属)
中静透(文部科学省総合地球環境科学研究所)
小林紀之(住友林業(株))
5.評価結果の概要
これまであまり研究されてこなかった新しい、かつ重要なテーマに対して、限られた予算で良い成果を上げたと思う。今後の課題としては、異なった空間スケールでの指標性・有効性の検討が重要である。国際的視野を失うことなく、発展させてほしい課題である。
本プロジェクトは多様性及び健全性評価手法を国際機関と共同に研究開発することに重要な意義があり、一応の成果は上げていると考える。課題としては、生物多様性の客観的評価技術、森林生態系の健全性評価手法の実用化可能な技術開発であると思われる。
6.評価において指摘された事項への対応
指摘の方向で、研究をまとめていく。期間内に実用化を目指すため、目標は現実的なものとする。森林の健全性に関しては、様々な考え方、意見があり、本プロジェクトではそのすべてをカバーできないので、国際ワークショップ及び推進会議での議論を踏まえ、施業にフィードバックするための指標、広域の変化を長期間観察するための簡便な指標の開発に絞る。生物多様性に関しては、簡便な方法による実用化を検討する。
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