森林総合研究所について > 公開情報 > 交付金プロジェクトの評価 > 平成15年度交付金プロジェクト研究課題評価結果 > CO2フラックス観測の深化とモデル化による森林生態系炭素収支量の高度評価
更新日:2010年5月11日
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主査氏名(所属): 沢田治雄(研究管理官)
担当部署: 植物生態研究領域、立地環境研究領域、気象環境研究領域、北海道支所、東北支所、関西支所、九州支所
外部参画機関等: 山梨県環境科学研究所
研究期間: 平成15~17年度
1.目的
森林生態系の炭素収支に関する科学的・社会的要請を背景に、森林生態系炭素収支を評価するため、微気象学的なCO2フラックス観測、生態系構成要素の個別CO2フラックス観測、生態系成長量調査などの複数の手法を適用し、観測データを蓄積する。観測データにもとづき炭素収支に関するモデルのパラメタリゼーションを高度化し、これらを総合化して多様な森林生態系の炭素収支量を高精度に評価可能とする。
2.当年度研究成果の概要
タワーフラックス・微気象観測を継続しデータを蓄積した。夜間の生態系呼吸量に及ぼす風速の影響を解析し、より精度の高い生態系呼吸量を得る見通しが得られた。アカマツ林樹冠内の光減衰、葉内窒素量の季節変化が個葉光合成量及ぼす影響について解析し、生化学モデルパラメタとの関係を定量化した。また、複雑地形上の混交林において詳細な毎木調査を実施し、地上部現存量と葉面積を明らかにした。多点観測を行い土壌呼吸速度の群落内空間分布特性を把握するとともに、季節変化の概要を明らかにした。
3.当年度の発表業績
4.評価委員氏名(所属)
丹下 健(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
5.評価結果の概要
研究目的の達成に必要な細課題が適切に設定され、また細部課題も同一の試験地を対象として相互に連携をとりながら実施・準備されているなど、プロジェクトとしてよくまとめられている。計画に即して研究が進められ、初年度として充分な成果が得られている。先行プロジェクトの成果を踏まえた研究目的と計画の設定、研究グループの組織化がなされており、研究計画の達成の可能性は非常に高いと評価する。
6.評価において改善を指摘された事項への対応
樹体の光合成・呼吸フラックス等の生理機能計測関係課題において、H15年度にプラットフォームを整備したサイトでの観測を重点的に推進する。自動測定システムを稼働し、土壌呼吸量の時間・空間的変動特性の解明と、群落平均値を得るための観測・解析を推進する。森林生態系の炭素収支に関わる要素のうち、これまで研究実績の少ない大型リターの分解に関わる情報の蓄積に努める。
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