森林総合研究所について > 公開情報 > 交付金プロジェクトの評価 > 平成15年度交付金プロジェクト研究課題評価結果 > 機能性を強化したきのこの成分育種及び栽培技術の開発
更新日:2010年5月11日
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主査氏名(所属): 石原 光朗(きのこ・微生物研究領域)
担当部署: きのこ・微生物研究領域、九州支所
参画機関 : 北海道林産試験場、三重県科学技術振興センター、長野県林業総合センター、静岡大学農学部
研究期間: 平成16~18年度
1.目的
きのこ栽培は中山間地の農林家の複合経営上大きな位置(林業粗生産額の41%)を占めているが、ここ数年、企業の参入や外国産の輸入増加によりすべてのきのこ品目で市場価格が大幅に低下しており、農林家にとって培地基材の転換や栽培期間の短縮化によっても収益が上がらず、きのこ栽培の存続が困難になっている。一方、高血圧症等の生活習慣病、がん等の免疫関連の疾患が急増しており、国民の健康志向が強まるなかで、健康増進機能を持つきのこへの期待が高まっている。機能性を強化したきのこ品種を中山間地のきのこ栽培に導入し、低価格・量産の外国産や大手企業産との差別化を図り、安全で良質な国産きのこの地産地消型の持続的生産・安定供給の体制づくりを目的とする。
2.終了時に得たい成果
ブナシメジ、ハタケシメジでは血圧降下に関与するアンジオテンシン変換酵素阻害活性、ヤマブシタケでは痴呆症の改善効果のあるヘリセノン類を対象として、成分育種を行い、高含量の菌株を作出する。シイタケでは、抗腫瘍活性を持つレンチナン含量を高める生シイタケの栽培技術、ニオイ成分を制御し嗜好性を高める乾シイタケの栽培技術を開発する。きのこの機能性成分の生体調節機能に関する情報を発信・普及し、消費の拡大を図るとともに生活習慣病の改善やがんの予防など国民の健康維持に寄与する。
3.評価委員の氏名(所属)
福井 陸夫(全国食用きのこ種菌協会 技術顧問)
4.評価結果の概要
機能性を強化したきのこ類を農林家の栽培に導入し、中国産や大手企業産との差別化を図るという目的は、中山間地域でのきのこ生産の復活振興を図る上で非常に重要な研究と位置づけられる。これを円滑に進めるために、プロジェクトで得られた成果の特許取得や種苗登録を確実におこない、使用権は中山間地を生活拠点とする農林業関係者に認可していく等の方策をお願いしたい。また機能性を強化したきのこは、一般食材としての扱いのみではなく、食品メーカー等との共同による特保取得あるいは健康補助食品としての販路の拡大も考慮すべき課題と考える。ニオイ成分を抑制した乾燥シイタケの開発は将来の輸出先も含めて消費者の嗜好性を調査しながら進めることが必要で、成果のブランド化を図り国際競争力を高めて欲しい。
5.評価において指摘された事項への対応
本プロジェクトで特許権や登録品種を得られた場合には、中山間地のきのこ生産者がそれらを低価格で利用できる体制を検討していきたい。成果に応じて、きのこ類の特定保健用食品や健康補助食品としての消費拡大策も考慮する。
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