森林総合研究所について > 公開情報 > 交付金プロジェクトの評価 > 平成15年度交付金プロジェクト研究課題評価結果 > 林業機械のテレコントロールシステムの開発
更新日:2010年5月11日
ここから本文です。
主査氏名(所属): 井上源基(林業機械研究領域長)
担当部署: 林業機械研究領域
研究期間: 平成13~17年度
1.目的
林業機械の無線遠隔操作を実現するために作業情報等を画像によってオペレータへ伝達するコントロール装置の開発、遠隔操作では実現困難な作業の自動制御化、および、効率的な作業を実行するための作業支援システムの開発を行い、林業機械のテレコントロールシステムを開発する。
2.当年度研究成果の概要
ハード面では、遠隔操作によりオペレータに作業中の実映像を提示するとともに、映像の中心でとらえた作業対象物の3次元位置を計測可能な装置を開発した。また、試験車両の各アクチュエータの電磁操作化を図るとともに、車両に搭載したパソコンと操作用ノートパソコンを無線LANで接続し、ノートパソコンのジョイスティック装置を用いて遠隔操作を行うシステムを開発した。森林総研内で実験を行った結果、見通し距離30m以内での遠隔操作を実現した。一方ソフト面では、作業計画立案を支援するシステムとして、機械と立木を映像で表示するプログラムを開発するとともに、垂曲線を基準点として利用した機械位置把握手法を開発した。
3.当年度の発表業績
4.評価委員氏名(所属)
山田容三(名古屋大学大学院生命農学研究科助教授)
5.評価結果の概要
ビジュアルコントロール装置として開発された3次元座標位置計測装置と映像提示装置は、遠隔操作を可能にするとともに現場での使い分けも明確化され、実用に足るものであると評価できる。一方、試験車両の電磁制御化を行い、無線LANによる遠隔操作を実現したが、実用化のための通信方法の改善が求められる。次年度以降コントロール装置の装備により現実感のある遠隔操作が行えることを期待する。また、リアルタイム作業支援システムではプログラムの開発とともに車両位置を自己認識するため林内に垂曲線を基準点として用いる手法を提案しており非常に興味深い。しかし現実の作業を考えた場合には、まだまだ改善の余地があると考えられる。さらに林内基準点だけでなく、車両にジャイロやGPS等の位置検出センサーを搭載し、3次元座標位置計測装置も含め、相互にデータを補完しあう手法の開発が望まれる。また、支援システムの方向性を整理する必要がある。
以上、多少の問題点は見られるものの、いずれも期間内に技術的に解決可能であると考えられる。また、昨年同様に各課題の研究成果には新たな知見や技術開発が見られるので、特許申請と学会誌等での研究成果の公表を鋭意に努めていただきたい。
6.評価において指摘された事項への対応
通信方法については、通信機器に依存する割合が大きいが、より確実にデータの転送を行える方法を検討する。また、車両位置の検出については、ジャイロとGPS等を搭載予定であり、新たな林内基準点の検討を含め、問題を解決する方策について検討を進めることで調整された。また、研究成果の公表、特許申請については、積極的に取り組むことが確認された。
お問い合わせ
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.